ダイナフォントストーリー

カテゴリー:連載コラム「ぬらくら」
2013/10/11

ぬらくら 第35回 OpenTypeフォントの中身(その3)

●OpenTypeテーブル (OpenType Tables)
TrueTypeまたはPostScriptのアウトラインがOpenTypeフォントで使われるか どうかにかかわらず、フォントが正しく機能するために以下のテーブルが必要です。
◇必須テーブル (Required Tables)

タグ 名前
cmap 字形データと文字コードのマッピング
head フォントのヘッダー
hhea 横書き用情報ヘッダー
hmtx 横書き用メトリックス
maxp 最大プロフィール
name フォント名テーブル
OS/2 OS/2とWindows用メトリックス
post PostScript情報
TrueTypeのアウトラインをベースにしたOpenTypeフォントは次のテーブルを使用します。
◇TrueTypeフォントのアウトラインに関連するテーブル (Tables Related to TrueType Outlines)
タグ 名前
cvt 制御値テーブル
fpgm フォント・プログラム
hhea 横書き用情報ヘッダー
glyf 字形データ
loca ロケーション・インデックス
prep CVTプログラム
PostScriptフォントの拡張機能は、上記の表の代わりに使われるPostScriptフォントの データ・スペックを含む新しいテーブルセットを定義します。
◇PostScriptのアウトラインに関するテーブル (Tables Related to PostScript Outlines)
タグ 名前
CFF PostScriptフォント・プログラム (compact font format)
VORG 垂直方向原点
縦書きのために使用されるCFF OpenTypeフォントには垂直方向原点(‘VORG’)テーブルを 含めることを推奨します。
OpenTypeのマルチプル・マスター・フォントのサポートは仕様バージョン1.3で廃止されました。
そのため‘fvar’、‘MMSD’、‘MMFX’テーブルは削除されています。
◇ビットマップ字形に関するテーブル (Tables Related to Bitmap Glyphs)
タグ 名前
EBDT 埋め込みビットマップ・データ
EBLC 埋め込みビットマップ位置データ
EBSC 埋め込みビットマップ・スケーリング・データ
OpenTypeフォントはアウトラインに加えて字形のビットマップを含むことがあります。
人の手によって調整されたビットマップは、非常に小さなデータ・サイズで複雑な字形を 提供するため、OpenTypeフォントには有用です。
特定のサイズのためにシステムが字形を レンダリングするとき、システムはアウトラインに代ってビットマップを利用します。
(注:現在、ATMはOpenTypeフォントのヒンティング・ビットマップをサポートしていません。)
縦書き以外にも組版機能をサポートするオプション・テーブルも用意されています。
◇高度な組版用テーブル (Advanced Typographic Tables)
タグ 名前
BASE ベースライン・データ
GDEF 字形定義データ
GPOS 字形位置データ
GSUB 字形置換データ
JSTF 両端揃えデータ(justification)
一般のテーブル・フォーマットの詳細については、 OpenTypeレイアウト共通テーブル・フォーマット (OpenType Layout Common Table Formats) を参照してください。
◇その他のOpenTypeテーブル (Other OpenType Tables)
タグ 名前
DSIG デジタル署名
gasp グリッド調整およびスキャン変換手続き
hdmx 水平デバイス・メトリックス
kern カーニング
LTSH 線型閾値データ
PCLT PCL 5データ
VDMX 垂直デバイス・メトリクス
vhea 縦書き用情報ヘッダ
vmtx 縦書き用メトリクス
●OpenTypeフォントの推奨 (Recommendations for OpenType Fonts)
(この章は「Byte Ordering」、「‘sfnt’Version」、「Mixing Outline Formats」などなど、OpenTypeフォントを作成するための推奨事項について概説しています。  
これ以上は深く入りし過ぎてしまうので省略します。  
興味のある方は以下のリンク先をごらんになってください。)

OpenTypeフォントの仕様概要は以上です。
稚拙な訳文のせいで、分かりにくいプログラミングの世界が、 さらにチンプンカンプンになってしまいました。
皆さんにお使いいただいているフォントの開発は一筋縄ではいかないのだということが 分かっていただければ、この記事を書くのに四苦八苦した甲斐があるというものです。
オリジナルの仕様は以下のリンク先で見ることができます。
OpenTypeの正規の仕様として参照する場合には、こちらのリンク先をご利用ください。
https://www.microsoft.com/typography/otspec/
さらに上記のリンク先ページの一番下に、OpenTypeフォントの開発には必須となる 文書へのリンク‘Download full specification’が張られています。
興味をお持ちの方はごらんになってください。
 
タイトルの「ぬらくら」ですが、「ぬらりくらり」続けていこうと思いつけました。
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  著者 Information

著者
ダイナコムウェア コンサルタント
mk88氏

PROFILE●1942年東京都生まれ。
1966年桑沢デザイン研究所ビジュアルデザイン科卒。
設備機器メーカー、新聞社、広告会社を経て、
総合印刷会社にてDTP黎明期の多言語処理・印刷ワークフローの構築に参加。
1998年よりダイナコムウェア株式会社に勤務。
Web印刷サービス・デジタルドキュメント管理ツール・電子書籍用フォント開発・
フォントライセンスの営業・中国文字コード規格GB18030の国内普及窓口等を歴任。
現在はコンサルタントとして辣腕を振るう。
Blog:mk88の独り言