ダイナフォントストーリー
2016年01月08日

アートディレクター甲谷 一のフォント探訪

EXPLORE THE FONT

新しい書体につねに触れて選択肢としてストックしておけばデザインの可能性が広がります。普段使い慣れている書体ばかりでは、アイデアが狭まり面白いデザインは生まれてこない。自身でもオリジナル書体の制作も行なう甲谷 一は「デザイナーはつねに新しい書体に触れておくことでデザインの可能性は広がる」という。
構成・文=浅井貴仁(ヱディットリアル舎) Asai Takayoshi 写真=小林由喜伸 Kobayashi Yukinobu
 
金文ゴシック体 StdN W5:「金文体」をベースにゴシック体の特徴である角張りや太さの均一性といった特徴をブレンドした新書体。金文体が備えていたスマートな美しさに力強さが加わった
金文ゴシック体 StdN  W5
’98年に発売された「金文体」を最初に見たときはびっくりしました。それまでの書体では見たことのない個性的な文字の形で、面白い書体が開発されたなとワクワクしたことを憶えています。「金文体」は、毛筆風のニュアンスと文字の先端に丸みがあるのが特長で、たくさんのシリーズ展開がされています。今回はゴシック体になり、文字の抑揚が抑えられ、先端もシャープになっているので、さわやかな印象がします。カジュアルな和風感を出したいときに効果的な書体ですね。
 
 
南極POP StdN W7:「角POP」をベースに開発した書体。漢字の角部分を尖ったストロークにし、まるで南極にそびえ立つ山脈の頂きを連想させる爽やかなデザインに。
南極POP StdN W7
少し右上がりになっているのと、全ての文字ではありませんが、エレメントの一部が分割されているのが、いいアクセントになっています。強さや元気さを感じる書体なので、文字を大きめに使ってインパクトを出したい場面に向いていると思います。メーカーの方にお聞きしたところ、書体デザイナーが「山登り」から発想されたとのことで、そのため右上がりの文字なのかもしれませんね。アイデアの基を知ると、その書体に親しみが湧いてきて使ってみたくなりますね。
 
 
シネマ凜 StdN W3:映画などの字幕を手掛けてきた字幕師の手書き文字を基に開発。手書きの個性を最大限に活かし、躍動感を感じさせる感情表現豊かな書体。
シネマ凜 StdN W3
文字の書き出しの部分と、書き終わりのクセづけがすごくいいですね。字幕の文字がベースになっているので、文字の形も字幕書体ならではの特徴的な形です。こういった手書き文字の魅力は、やはり温かみだと思うのですが、この書体は文字に丸みがあるので、さらにかわいらしさも加わっていますね。コラムなどのタイトルであったり、吹き出しの文字など、ちょっとした箇所に使うと、紙面全体にやわらかな雰囲気が出て、とてもいいアクセントになりそうです。
 
 
「DESIGN NOTE」 No.64より転載
 

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