EXPLORE THE FONT
構成・文=浅井貴仁(ヱディットリアル舎) Asai Takayoshi 写真=小林由喜伸 Kobayashi Yukinobu
’98年に発売された「
金文体」を最初に見たときはびっくりしました。それまでの書体では見たことのない個性的な文字の形で、面白い書体が開発されたなとワクワクしたことを憶えています。「金文体」は、毛筆風のニュアンスと文字の先端に丸みがあるのが特長で、たくさんのシリーズ展開がされています。今回はゴシック体になり、文字の抑揚が抑えられ、先端もシャープになっているので、さわやかな印象がします。カジュアルな和風感を出したいときに効果的な書体ですね。
少し右上がりになっているのと、全ての文字ではありませんが、エレメントの一部が分割されているのが、いいアクセントになっています。強さや元気さを感じる書体なので、文字を大きめに使ってインパクトを出したい場面に向いていると思います。メーカーの方にお聞きしたところ、書体デザイナーが「山登り」から発想されたとのことで、そのため右上がりの文字なのかもしれませんね。アイデアの基を知ると、その書体に親しみが湧いてきて使ってみたくなりますね。
文字の書き出しの部分と、書き終わりのクセづけがすごくいいですね。字幕の文字がベースになっているので、文字の形も字幕書体ならではの特徴的な形です。こういった手書き文字の魅力は、やはり温かみだと思うのですが、この書体は文字に丸みがあるので、さらにかわいらしさも加わっていますね。コラムなどのタイトルであったり、吹き出しの文字など、ちょっとした箇所に使うと、紙面全体にやわらかな雰囲気が出て、とてもいいアクセントになりそうです。