DynaFont PICK UP書体-翔鷹楷書
ダイナフォント2025年新書体「翔鷹楷書」
2025年春の青空に燦然と輝いたのは鷹の特徴である力強さ、速さ、鋭さに溢れた文字です。
ダイナコムウェアではこれまで多くの毛筆系書体を手掛け2024年に発表した「金蝶体」が同年グッドデザイン賞を受賞するなど、毛筆系書体において数々の実績を積み重ねてきました。そしてこの春、伝統的な楷書に鮮明かつクリエイティブに満ちた筆致を取り入れることでこれまでにない新しさを持った楷書体を発表しました。
その名も「翔鷹楷書(しょうようかいしょ)」。
まるで天空を駆け抜ける鷹のようでもあることから「翔鷹楷書」と命名されたその書体は具体的にどのような特徴がある書体なのでしょうか。
今回のダイナフォントストーリーでは、2025年の4月に産声を上げると大きな翼を広げ春の青空に向けて天高く羽ばたいていった「翔鷹楷書」を追いかけて、その全貌に詳しく迫っていきます。
まずは正統派の楷書体として人気のダイナフォント楷書体シリーズと比較してみましょう。
方形ではっきりとした骨格によるオーソドックスなデザインで人気のダイナフォント楷書体シリーズからウエイトの近い「太楷書体」を選んで「翔鷹楷書」と比べてみると、直線的な筆遣いや特徴的な起筆や収筆が見られます。
それでは漢字やかな、英数字、記号にどんな文字があるのか見ていきましょう。
文字見本を見ると漢字だけでなく、かなや英数字、記号などにも特徴が反映されているのが分かってきました。
次に「翔鷹楷書」の漢字について更に詳しく掘り下げていきます。
漢字の特徴を見ると、文字が持つ強さや筆遣いによる勢いとスピード、鋭い造形が感じ取れる書体であることが伝わってきました。
それではかなの特徴についても見ていきましょう。
かなの特徴を見ると、漢字との一体感に考慮したデザインになっていることが分かります。
かなデザインを担当したのは「龍門石碑体A」、「京劇体A」、「POPミックスA」のかなデザインも担当しているダイナコムウェアの書体デザイナー・中村 陸人です。
中村 陸人本人にも「翔鷹楷書」の特徴や活用例について質問してみました。
Q: 書体デザインに携わっている中村さん自身が考える「翔鷹楷書」の特徴を教えていただけますか?
「翔鷹楷書」は基本的な楷書をベースにしつつ直線的で鋭いストロークや、筆の筆致を思わせるハネや払いのゆらぎを特徴に持っている書体です。
Q: 楷書体をデザインしてみて、これまでの書体デザインとの違いを感じた部分や苦労された点があれば教えていただけますか?
楷書体に限らず筆で書くことを前提とした書体に取り組むのは今回が初めてでした。筆で書いた線は、穂先の動きや抑揚が複雑で、視覚的に整って見えるだけでなく、動きとしても自然である必要があります。そうした点で、楷書体には独特の難しさがありました。これまでの書体では、比較的視覚的なバランスに重きを置きながら、感覚的に形を整えることもできたのですが、今回は筆の動きをどう形に落とし込むかを意識しながら、一つひとつの形を組み立てていくプロセスが必要だったことが大変でした。
Q:「翔鷹楷書」のかなデザインで参考にされた資料などはありますか?
毛筆で文字を書く習慣が薄れている現代のライフスタイルの中で楷書のかなを作るにあたり、しっかりと自分の中に毛筆のかなのイメージがなかったので、それを確かめるため過去や現在の教科書の書き方の手本を参考にしました。
Q: 「翔鷹楷書」のかなデザインで心掛けた点を教えていただけますか?
「翔鷹楷書」が持つ漢字のスタイルのニュアンスを上手くかなのデザインと共有させていくことが今回のかなを作成するにあたって気をつけたポイントです。漢字のデザインをかなにあてはめると言っても、漢字は直線的な構成が多い一方でかなには曲線が多いなどそのまま適用することはできません。そのため、漢字の書きぶりを分析して、筆の動きやフトコロのとりかたを分析し、かなを書くとどういう形になるのかと考えて制作しました。
Q: 筆を使用した書体デザインに取り組まれた中で、印象に残っていることなどあれば教えていただけますか?
文字の形を確かめるときに、たびたび水で書ける書道用紙を使って文字を書いていました。モニターに向かっていると文字の形はアウトラインをなぞる平面的な作業に感じますが、実際には穂先のふくらみやかえしといった立体的な動きの結果なのだと気づかされます。その過程が形を作るというより導き出すような感覚につながりました。
Q: 最後に中村さん自身がオススメする「翔鷹楷書」の活用方法を教えていただけますか?
印象的なエレメントを持った書体ですので、タイトルに使うと効果的だと思います。また、基本的な楷書をベースにしているので、リード文などある程度長さのある文章にも使えるでしょう。加えて、勢いや鋭さを感じさせる文字ですので、キレや鮮明さ、簡潔、明瞭、といったキーワードがふさわしいと思います。字面がやや小さな文字ですので、文字間をつめた表現などもより力強く見えると思います。
誕生したばかりで、まだまだ雛の状態とも言える「翔鷹楷書」に関して、少しでも興味をお持ちいただけるきっかけとなることを目指した今回のダイナフォントストーリー、いかがでしたか。
「翔鷹楷書」の製品詳細ページでは実際にフォントのシミュレーションができますので、ぜひそちらも一度お試しください。
・「翔鷹楷書」のフォントシミュレーションはこちら
「翔鷹楷書」は2025年4月18日から2025年ダイナフォント春の新書体としてダイナフォント年間ライセンス「DynaSmart V」「DynaSmart 教育機関向けプラン」「DynaSmart 学生版」をご契約いただいているお客様に向けて提供を開始します。
ぜひ、皆さまも思い思いの使い方で、春の青空を翔ける鷹の文字「翔鷹楷書」をどうぞご活用ください。
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