ダイナフォントストーリー
2015年11月17日

「DynaSmart V」で映像制作がもっと自由に!

ニンクロ×DynaFont

来る11月27日、ダイナフォントの新サービスとして映像やゲーム、デジタルコンテンツなどでも自由に1,700以上の書体が使えるライセンス「DynaSmart V」がリリースされる。そこでオリジナルアニメーション『中学星 chu-gakusei』をはじめとして数々のCGアニメーションやキャラクターデザインを手がけるクリエイター、清水誠一郎さんに「DynaSmart V」を体験いただき、映像での文字表現の可能性を探ってみた。

近年、制作環境が導入しやすくなり、Webでの動画コンテンツや動画配信サービスも一般化してきたことで、映像作品を発表できる場が増えている。実際、清水さんが大学院の修了制作として作り始め、その後DVDでもリリースされた1本10秒のショートアニメシリーズ『中学星 chu-gakusei』は、ニコニコ動画で広く人気を得たコンテンツだ。

こうした映像作品で文字を扱う際、気になるのがフォントの許諾範囲。フォント製品は1書体ずつ購入するものも、定額で多数のフォントを使うことができるライセンスでも、それぞれ利用できる許諾範囲が定められており、全てのフォントがあらゆるメディアで自由に使えるわけではない。ポップで特徴的なラインナップを持つダイナフォントの定額ライセンス「DynaSmart」は、これまで映像やゲーム、アプリなどのデジタルコンテンツ内で同社のフォントを使用するには、別途で許諾契約が必要だった。しかしこの11月、そうした幅広いコンテンツでの許諾も含めたライセンス「DynaSmart V」が登場する。

そこで、今回は清水さんにDynaSmart Vのフォントに触れてもらい、オリジナルキャラクター企画「ニンクロ」のキャラクターと組み合わせた数秒の動画を制作してもらった。

【文字の形から、映像の演出を考える】

『ニンクロ』は清水さんがチームで立ち上げた自主キャラクター企画。忍をモチーフにデザインされた、音楽をエネルギー源とするアンドロイド・キャラクターたちを軸にして、コンテンツを企画・制作している。

「『ニンクロ』は世界に向けて見せることを意識して作っています。キャラクターが忍者ということもあり、日本語や漢字も形として格好よく合わせられそうだと思ってビジュアルに取り入れています。正三角形を組み合わせて各キャラクターを象徴する文字を作り、それを技のエフェクトにしたりしています」  

こうした特徴的な文字は自ら作字して使っているそうだが、今回は普段と少し違うアプローチで映像に取り入れてみたと言う。 「DynaSmart Vは本当に選択肢が多いので、形が特徴的なフォントを3つ選んで、その文字の形から演出を考えてみました」と、清水さんが選んだのは「DFひびゴシック体W14」「DC寄席文字W7」「DF極太ゴシック紋様A Std」の3フォント。これらを組み合わせて、『ニンクロ』のキャラクターが忍術を発動させる7秒の動画に仕立てた。

「DFひびゴシック体W14」は形を生かして3D化し、岩のような立体的な効果音に。「DF極太ゴシック紋様A Std」は背景からせり出してくる巨大なオブジェクトに。「DC寄席文字W7」は長体をかけ“らせん”を描くように変形させて、力を溜めていくエフェクトに使用している。

「ひびゴシックの形はもう、そのまま立体にするだけでいけるなと。忍術のエネルギー体はぐにゃりとした“練りもの”みたいなイメージなので、寄席文字の、特にひらがなの形は使えそうだなとやってみたら、思った以上に格好よくなりましたね。最後に出てくる<DynaSmart>という文字も、こんな星のような柄が入ったフォントは見たことがなかったので、面白いと思いました。これも筋の部分だけ押し出して、少し立体感をつけています」

【量感のあるフォントの魅力】

動いている映像を見ると、確かにそれぞれのフォントの特徴を生かしながら、演出装置として効果的に取り入れられている。

「ゴシックだけ見ても、ちょっと変わったものがたくさんありますよね。力強いフォントも多いし、こういう量感があるフォントは映像の中で大道具や小道具として使えるんじゃないかと思います。ビジュアルとしての文字は自分で作ってしまうことが多くて、これまであまり多くの選択肢からフォントを選ぶことがなかったので、作っていて楽しかったですね」

もちろんテロップとして使うもよし、今回のように演出的に使うもよし、ポップで力強いDynaSmart Vのフォントバリエーションはまだまだ面白い使い方ができそうだ。

また、DynaSmartは学制版の導入にも力を入れている。静岡文化芸術大学で映像制作についての授業を持っており「ちょうど、授業でAfter Effectsで動く名刺を作る課題を出しているところなんです」と言う清水さん。学生の頃から多くのフォントを活用してもらうことで、映像への新たなアプローチが開ける可能性も期待できるのではないだろうか。
 

オリジナルキャラとのコラボで文字の形から発想した演出

清水さんのデザインした『ニンクロ』のキャラクターの一人、クロネコが忍術を使うシーンをイメージした7秒の動画。「ゴゴゴ……」と岩のように存在感のある効果音と、ぐぐぐっと集まってくる妖しく不思議なエネルギー、そして最後に周囲の「ゴ」を勢いよくはじき飛ばす「DynaSmart」が、3種類の書体を使って表現されている

3ds MaxとAfter Effectsを組み合わせた映像制作

清水さんが映像の制作に使うのは、3Dソフトウェア・3ds Maxと、動画編集ソフトウェアのAfter Effects。「DFひびゴシック体W14」と「DF極太ゴシック紋様A Std」は文字をパスとして読み込んで立体化。「DC寄席文字W7」は「なんかヤバそうな力」という文字に長体をかけたのち、キャラクターの周りに集まってくるように動きをつけ、After Effectsでゆがみやブラーをかけている


▲制作された「Dynasmart V × NINCHRO」動画をお楽しみください。

DynaSmart
極太ゴシック紋様A
DynaSmart
寄席文字
DynaSmart
ひびゴシック体
清水誠一郎[しみず・せいいちろう]
静岡文化芸術大学大学院デザイン研究科修了後、スズキ株式会社でカーデザイン業務を務める。2013年よりフリーランスに転向し、CGアニメーションやキャラクターデザインを軸に様々なメディアで活動中。ホログラムライブの演出も手がけている。オリジナル企画に中学星・ニンクロがある。
url. shimizuseiichiro.jp/
月刊「MdN」2015年12月号より転載

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