細かったり、太かったり、その個性で助けあえるのがファミリーなんだ!
文字アカデミー 第5回 ファミリー
ここは文字アカデミー。
多くの文字ッ子が集まり、日々、文字のプロフェッショナルになるべく奮闘している文字の学び舎です。
文字沼への道を駆け上がり、文字の知識を吸収して、太く逞しく成長するミチルちゃんが次に学ぶのは、書体の太さのようです。
それでは本日もミチルちゃんと文字の文化について一緒に学んでいきましょう。
ミチル:教授、今日は書体の太さについて教えていただけるんですよね。
教授:太さも含めて、今日は「ファミリー」について勉強していこう。
ミチル:我が家には父と母と兄と犬のタリルがいます。兄のカケルはガッツリ食べる系で、テディベアのような体型をしています。本人いわくぽっちゃり系ですが……。
教授:そのファミリーのことではないが、太さが複数ある書体は知っているかな。
ミチル:はい。書体を選択するとき、W3とかW5とかLightとかRegularとか選べる書体がありますよね。
教授:異なる太さなどで構成されている書体の状態を「ファミリー」と呼んでいる。それでは今日も始めよう。
ミチル:よろしくお願いいたします!
教授:書体を選択した際の書体名の後ろに表記されているW5やRegularなどは書体の太さを表しており、こうした書体の太さを「ウエイト(Weight)」と呼んでいる。
ミチル:ウエイトと呼ぶんですね。なんだか文字の体重みたいですが、確かに太い文字ほど身が詰まっていて重いような気もします。
教授:先ほど、W5やRegularと言ったが、ウエイトは書体によって表記が異なってくる。例えばWで表記している場合、W1、W2、W3と数字が進むほどに書体は太くなっていくわけだが、LightやRegular、Boldといった欧文で太さを命名している場合や、それを略してLやR、Bなどで表現している場合もあったりする。
ミチル:なるほど。これまで何となく使用していましたが、ウエイトって書体によって呼び方も色々あるんですね。母をお母さんと呼んだり、ママと呼んだりすることと一緒かな。
教授:呼び方はさておき、太いウエイトは目立たせたい部分に使用されることが多く、細いウエイトは、小さい文字サイズで表示したい場合も潰れにくいので、本文やキャプションに適しているわけだ。
ミチル:それぞれ太いことや細いことで個性が出て、役割も違ってくるんですね。
教授:こうした書体のウエイトだが、書体は書体ごとにデザインが違うため、例えば同じW3のウエイトを選んでみても異なる書体では太さが違ってきたりすることも覚えておこう。
ミチル:はい。メモメモ。
教授:「ファミリー」には、太さ以外に「長体(ちょうたい)」に対応した書体や「平体(へいたい/ひらたい)」に対応した書体もある。
ミチル:「長体」、「平体」とは何でしょうか?
教授:文字を組んでいて、収めたいスペースに収まらずに困る時があるだろう。
ミチル:はい。1行で納めたいのに、収まらずに頭を抱えてしまう時があります。そうした時は文字量を削ったり、文字サイズを縮小して対応してきました。
教授:うむ。それでも対応できるが、字間を詰めたり、文字の縦横比を変える「長体」や「平体」といった変倍などで対応するといった方法もある。
ミチル:そんな方法もあったんですね。
教授:「長体」とは横の比率を縮めて縦長に変形させた文字で、主に横組みで使用する。「平体」は縦の比率を縮めて横長に変形させた文字で、主に縦組みで収まらない場合に使用する。
ミチル:選択肢は多い方が良いですよね。次回、困った時は「長体」や「平体」で収めることも検討してみます。
教授:また、文字を収める使い方以外にも、「長体」を縦組みで「平体」を横組みで使用することでレイアウトに微妙な変化を持たせて、デザインを際立たせるなどの理由でも使われることもある。但し、この「長体」や「平体」は、かける程に本来の書体の設計の意図から離れていってしまい、かけすぎてしまうと変に細くなりすぎたりで視認性や可読性が損なわれてしまう懸念点もある。
ミチル:なるほど……、使用する場合は気を付けてみます。
教授:そんな時に「ファミリー」にあると輝くのが「コンデンス書体」だ。
ミチル:なんだか凝縮されてそうな名前!
教授:「コンデンス書体」は、基準となる書体に比べて横幅を狭くしつつも、視認性・可読性を損なうことなく配慮して設計した書体となる。ストロークの太さや字形のバランスが調整されているので、文字がスペースに収まらない場合、もし「コンデンス書体」が「ファミリー」にあれば、活用してみるのが良いだろう。
ミチル:まさに収納名人ですね。そんな書体が「ファミリー」にいると一安心、我が家でいうと几帳面で整理整頓好きの父かな。
教授:また、欧文書体の「ファミリー」には「エクステンデッド(Extended)」や「エクスパンデッド(Expanded)」という文字の横幅が広く設計されている書体があることも覚えておこう。
教授:その他、欧文フォントのファミリーには「イタリック体」という書体が存在している場合がある。多くの「イタリック体」は右に傾いたようなデザインが特長で、文章中の強調したい部分や区別したい部分、また他言語の単語であることを示す時など、文章のアクセントとして使用されていることが多い。
ミチル:なるほど。確かに文中で斜めになっている文字を目にする時があります。
教授:ちなみに「イタリック体」と混同してしまいがちで注意が必要となるのが「斜体」で「オブリーク体」とも呼ばれている。「イタリック体」がしっかりと設計された書体であることに対して、「斜体」は文書作成ソフトウェアなどにある機能で単純に斜めに変形した文字となる。「ウエイト」にしろ、「コンデンス書体」にしろ、「イタリック体」にしろ、同じ字形を単純に太さやその形状を変更しているだけではなく、文字として違和感が無いように細かな調整をすることで視認性・可読性に配慮して設計されているからこそ、その時々の使用用途により、「ファミリー」から適切なものを選択できるというわけだ。今回はここまでにしよう。
ミチル:あまり意識せずに使用してきましたが、今回、詳細を教えていただき、とても理解が深まった気がします。もちろん「ファミリー」なので、すごく似ているんですけど、太さや横幅などで、それぞれ個性が出ていますし、その個性によって、チカラを発揮する場面もそれぞれ異なっていて助け合うことができるって、まさに “家族” って感じがしました。私も兄とラーメンに行ったりするんですけど、食べきれない量をシェアして助けてもらったり、それによって腹ペコの兄はたくさん食べることができて嬉しかったりで、Win-Winな関係を構築しています。あぁ、「ファミリー」って、なんて素晴らしい!
教授:次回はエレメントの回でも紹介したが、もう少し深く「明朝体」と「ゴシック体」の違いについて掘り下げてみようと思う。
ミチル:はい。ありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。
文字アカデミー
文字の文化について深く学ぶことができるアカデミー。多くの文字ッ子が集まり、日々、文字のプロフェッショナルになるべく奮闘している。
ミチル
文字アカデミーに入学した女の子。気になった文字用語などをモジバタ教授にドンドン質問していく。DynaSmartシリーズのカタログにも登場しているらしい。
モジバタ教授
文字文化の研究に人生を捧げた文字アカデミーの教授。どことなく風貌がダイナコムウェアの某顧問の人にも似ている気がしないでもない。
〇文字アカデミー講義一覧
・文字アカデミー入学案内
・書体とフォントの回
・エレメントの回
・仮想ボディの回
・文字のサイズの回
・ファミリーの回
・テロップの回
・バリアブルフォントの回
・Web to Printの回
・ダイナフォント30周年の回
〇講義に登場した主な書体
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言語を超えて統一したフォントファミリーにより、ローカライズ案件においてもデザインの統一感が出すことが可能で、国内外の複数のアワードを受賞しています。
「金剛黒体」はダイナフォント年間フォントライセンス製品「DynaSmart V」に収録されています。
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