文字のエレメントを知ってなんだかエレガントな気分になりました。
文字アカデミー 第2回 エレメント
ここは文字アカデミー。
多くの文字ッ子が集まり、日々、文字のプロフェッショナルになるべく奮闘している文字の学び舎です。
第1回講義で書体とフォントについて学び、少し文字に詳しくなってきたミチルちゃん。
しかし、彼女の文字への探求心はまだまだ満ちることはなく、今回は、文字を構成する要素である“エレメント”についてモジバタ教授に質問するようです。
それでは本日もミチルちゃんと文字の文化について一緒に学んでいきましょう。
ミチル:教授、前回はありがとうございました。それにしても書体の形って特徴がありますよね。例えば明朝体にあるおにぎりっぽい部分とか。
教授:おにぎり?
ミチル:はい、三角形の。
教授:あぁ…、ウロコという「エレメント」のことだね。
ミチル:「エレメント」って何ですか?
教授:「エレメント」は文字を構成する要素の名称だね。ウロコは知らなくても国語や書道の授業などで、ハネやハライという言葉を耳にしたことはあるだろう。
ミチル:はい。授業で習いました。
教授:それでは今回は文字の「エレメント」を勉強していこうか。
ミチル:ありがとうございます。今日も目からウロコの講義、期待しています!
教授:先ほども言ったが、エレメントとは書体を構成する要素の名称のことだね。エレメントの1つ1つが書体の部品ともいえるが、もちろん書体は、エレメントを組み合わせるだけの単純なものではなく、文字のバランスなどを含めて設計されているわけだ。
ミチル:なるほど、奥深いですね。
教授:余談だが、明朝体のエレメント図にあるウロコ、ハネなどの名称は、金属活字が使われていた時代に活字を制作する際、各部の要素に名称が必要になって自然発生的に命名されていった言葉だ。ただし、金属活字は特定の人間しか使わない限られた世界の専門的なツールだったこともあって、技術書によってはエレメントの名称が違っていることもあるようで、欧文のような明確な統一名称はないようだ。
教授:書体ごとにデザインが違うのは分かると思うが、そこには書体ごとのエレメントの違いが関わってくる。例として和文書体の明朝体とゴシック体を比較してみよう。何か違いが分かるかな?
ミチル:えっと。明朝体にあるウロコがゴシック体にはなかったり、明朝体はなんだか縦が太くて横が細かったりしているような…。
教授:そうだね。こうして書体ごとの特徴がエレメントから見えてくるわけだ。そして、こうした書体ごとのエレメントの特徴は、どんな場面にどんな書体を選択するか判断する上でも大切な基準となってくる。ゴシック体はウロコなどの装飾性を排除することで、遠くからでも文字が判別しやすいという利点がある。一方、明朝体の特徴的なエレメントには、文字にメリハリをつけることで視線を誘導して可読性を上げることができるため、文字数の多い本文組に適しているわけだ。
ミチル:なるほど、これまであんまり気にしていませんでしたが、小説とか明朝体で組まれていますもんね。
教授:うむ。これからの生活の中で、どんな場面でどんな書体が使用されているのか注目していくと、より文字ッ子ライフを楽しめるかもしれんぞ。
教授:さて、次は欧文のエレメントを見ていこう。欧文のエレメントにもそれぞれ名称がついており、図にあるセリフは、明朝体でいうとウロコに該当する部分で、ウロコ、ヒゲとも呼ばれたりもする。
ミチル:欧文にもウロコ!
教授:セリフにはブラケットセリフ、ヘアラインセリフ、スラブセリフなどがあり、セリフの有無や形により、エレメントの名称としてだけではなく、書体の分類をするときの名称としても使用されている。
ミチル:セリフの形をもみると色々なセリフがあるんですね。なんだかちょっと色々な形のヒゲにも見えてきました。
教授:ちみなにブラケットセリフは、三角形(Bracket)の形状のセリフで一般的なセリフで和文書体でいう明朝体に近いイメージとなる。ヘアラインセリフは、セリフが細くて直線的で縦のラインと比べてもコントラストがはっきりしているのが特徴で、繊細さや気品を感じる人もいるだろう。スラブセリフは、縦と横の線の太さが同じで、力強さがある。また、セリフのない書体はサンセリフと呼ばれている。sansはフランス語で「無い」を意味しており、和文でいうところのゴシック体に近い印象となる。セリフとセリフのないサンセリフは、和文書体でいう明朝体とゴシック体のような大きな括りで括られたりもする。欧文についてはおいおい更に詳しく取り上げるとして、今回はここまでにしておこう。
ミチル:今日は明朝体、ゴシック体、セリフ、サンセリフのエレメントについて学べて、なんだかエレガントな文字レディに近づけた気分です。
教授:次回は「仮想ボディ」について取り上げることにしよう。
ミチル:仮想ボディ!? SFっぽくて気になります。次回もよろしくお願いします。
文字アカデミー
文字の文化について深く学ぶことができるアカデミー。多くの文字ッ子が集まり、日々、文字のプロフェッショナルになるべく奮闘している。
ミチル
文字アカデミーに入学した女の子。気になった文字用語などをモジバタ教授にドンドン質問していく。DynaSmartシリーズのカタログにも登場しているらしい。
モジバタ教授
文字文化の研究に人生を捧げた文字アカデミーの教授。どことなく風貌がダイナコムウェアの某顧問の人にも似ている気がしないでもない。
〇文字アカデミー講義一覧
・文字アカデミー入学案内
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・バリアブルフォントの回
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