ダイナフォントストーリー
2021年03月30日

台湾映画「I missed you(原題:我沒有談的那場戀愛)」とダイナコムウェアがコラボレーション

「I missed you(原題:我沒有談的那場戀愛)」×ダイナコムウェア

南人電影の金馬賞受賞当時のチームが手掛けた台湾映画「I missed you(原題:我沒有談的那場戀愛)」とダイナコムウェアのコラボレーションが実現!
 

「映画には私たちの全てが詰まっている」
南人電影の金馬賞受賞当時のチームが手掛けた台湾映画「I missed you(原題:我沒有談的那場戀愛)」と
ダイナコムウェアのコラボレーションが実現!


台湾の映画製作会社「南人電影有限公司」制作による、徐譽庭監督と許智彥監督の2人が初タッグを組んだ台湾映画「先に愛した人(原題:誰先愛上他的)は、中華圏を代表する台湾の映画賞「第55回金馬賞(ゴールデン・ホース・アワード)」で8部門にノミネートされ3部門で受賞に至った作品で、世界各国でも多くの賞を受賞しました。
そして2021年旧正月の大晦日の前日にあたる2月10日、両監督が2度目のタッグを組んだ作品「I missed you(原題:我沒有談的那場戀愛)」が台湾全土で公開されました。
「I missed you(原題:我沒有談的那場戀愛)」は、徐監督が脚本を担当し、監督が得意とする癒し系ストーリーと共にソーシャルメディアで盛り上がっている人々と自分自身の距離感に焦点を当てた作品です。
Facebookのブロックリストからストーリーが展開され、ブロックをした理由がほんの出来心だったのか、それとも二度と相手の情報を知りたくないという理由だったのか、また、ブロックをすることで本当に相手を忘れることができるのか、といった部分が描かれる中、人と文字との繋がりも描かれていきます。
人と文字との関係も深い本作品に携わる監督や美術スタッフは元々、文字の美しさに対して強いこだわりを持っており、そうした文字へのこだわりが作品内でも追究されていったのも必然だったのかもしれません。
こうして文字のプロフェッショナルであるダイナコムウェアと南人電影とのタッグが誕生することになり、「I missed you(原題:我沒有談的那場戀愛)」に様々なダイナフォントが使用され、文字の力が作品のストーリーに更に深みを与えていくことになりました。



映画のワンシーンに使用された「華康古籍銀杏(日本語書体名:古籍銀杏)」
映画のワンシーンに使用された「華康古籍糸柳(日本語書体名:古籍糸柳)」


映像に使用されるフォントは適材適所で使い分ける
フォントは私たちの日常生活に溶け込んでおり、普段意識することは少ないかもしれまんが、その場にふさわしくないフォントが使用されていることで違和感を覚えることも多々あります。
「I missed you(原題:我沒有談的那場戀愛)」の美術指導を担当した陳炫劭氏(以下陳氏)は、アルバムデザインや広告、MV、及び数多くの映画作品で美術指導とデザインを手掛けてきた人物です。
陳氏は文字を必要とする場面や道具をデザインする際にメインとなるフォントとサブのフォントを選んでみるなど、フォントにも強いこだわりと深い造形を持っています。
「どのフォントにもいえることですが、どこにどのフォントを使うかが重要です。映像にフォントを合成する際、空間全体を程よくリアルに見せることで、見る人にあたかも現在であるかの如く思わせることが必要です。」とコメントしており、こうした陳氏による適材適所でのフォントの使用により、脚本の理解度を高める役目を果たしたのでした。
例えばヒロインである郭勤勤(艾怡良)は、前職から現在までデータアナリストとして働いていますが、業界が異なるためコーポレートフォントについてもそれぞれ別のフォントを採用しています。
前職のテクノロジー企業ではフォーマルでテクノロジーっぽいゴシック系フォントを採用し、現職の女性向けポータルサイトを運営する企業では「華康古籍銀杏(日本語書体名:古籍銀杏)」を採用しました。
陳氏は「華康古籍銀杏」の採用理由として、「『華康古籍銀杏』は古風なスタイルのフォントですが、縦長の字形で秀麗、やや丸みを帯びた画線に温かみを感じで女性向けポータルサイトを運営する企業においても不自然さはなくマッチしたので、このフォントを採用しました。」とコメントしています。



映画の中でヒロインが働く女性向けポータルサイトのコーポレートフォント(漢字部分)として、秀麗で優しい雰囲気を表現した「華康古籍銀杏(日本語書体名:古籍銀杏)」が採用されています。
映画の中でヒロインが働く女性向けポータルサイトのコーポレートフォント(漢字部分)として、秀麗で優しい雰囲気を表現した「華康古籍銀杏(日本語書体名:古籍銀杏)」が採用されています。


フォントを適材適所に使わないとどうなるのか?
「もし、テクノロジー企業のコーポレートフォントとして『新宋体』や『クラフト童』を使用していたら、リアルさを失い、瞬時に違和感を覚えてしまうでしょう。」とコメントするなど、リアルさを追求する陳氏が採用したフォントにはリアルさが備わっています。
郭勤勤が前に勤めていた企業は昔ながらのテクノロジー企業で少々「プチセレブ」のような雰囲気があることから、流水席(屋外で行う宴席)で忘年会を開く場面の文字として、控えめでありながらも存在感のあるタイトル向け書体「華康儷金黒」を採用することで、デザインに対するこだわりがなく、見栄えだけ重視している様子を表現しています。 また、わざとデザインデータを未アウトラインの状態にして出力する際にシステムフォントに切り替わったり文字が出なかったりする演出を加えることで、美意識に重きを置いていない企業だということを示唆するユーモアを忍ばせました。
陳氏が手掛けてきたこれまでの美術製作では、こんなにもたくさんのフォントを使ったことがなく、スタイルが美しくてエレガントさのある日本語フォントの漢字をよく使っていたそうで、その際、中国語の漢字だと欠けてしまう文字があるという点がネックということでした。
また、ダイナフォントに対してもあまり注目してこなかったそうで、偶然広告を見かけたことや今回のコラボレーションを通じてダイナフォントがこんなにも多くのフォントを世に出しているということが分かったそうで、「まさか知らないうちに、ダイナフォントがこんなにも劇的な変化を遂げているとは思いもしませんでした。」と率直にコメントしてくれました。



ヒロインが以前勤めていた会社で行われた忘年会のシーンです。昔ながらのテクノロジー企業の雰囲気に合わせてタイトル向け書体「華康儷金黒」や「華康華綜体(日本語書体名:POPミックス)」などが採用されました。<br />
ヒロインが以前勤めていた会社で行われた忘年会のシーンです。昔ながらのテクノロジー企業の雰囲気に合わせてタイトル向け書体「華康儷金黒」や「華康華綜体(日本語書体名:POPミックス)」などが採用されました。


編集作業でリアルとバーチャルを融合させる
今回の撮影では、全スタッフの感染予防対策に気を配りながらの撮影を余儀なくされ、編集段階では製作スタッフも疲労困憊になるなど、準備段階からクランクインまで多くの苦楽を味わうことになったことになりました。
今作品は人とSNSが関係する場面が多く、SNSを操作する映像では編集に頼らなければならず、劇中のFacebookの画面も撮影してから編集段階で特殊効果をかけるなどしています。
スクリーンに映した際にも本物のように見せなければいけないことで、編集の難易度も上がり、また、Facebookのライセンスの規約上、フォントや記号の比率、スクリーンの構成から細かいディテールまで全く同じように作らなければならず、製作中にバージョンが変わった場合には作り直す必要があるなど、困難の連続でした。
さらに、SNSの操作そのものが「人」の存在に関わることから、人がどのようにスクリーンを見ているかということだけではなく、スクリーン側から人を見た景色がどのように見えているのかといったことを編集段階で考えないといけませんでした。
人と仮想空間の間で行われるやり取りを、映像の中でいかに生き生きと表現するのかということが今作品の編集作業においてキーポイントとなる中で、製作チームは何度もトライアンドエラーと修正を繰り返し、作品を完成させていきました。

「映画には私たちの全てが詰まっている」という映画のキャッチコピーは、パズルのピースを組み合わせたような映画の制作チームを一言で表したものです。
映画は、監督、脚本家、俳優、美術指導からプロデューサー、キーグリップ(現場監督)、撮影、照明、舞台裏撮影スタッフ、音声、スタイリストといった各部門の精鋭たちが、偶然が重なったように同じ時代・場所に集合して、現在の文化・社会を映像作品として記録していく作品であるため、製作中にスタッフが一人でも入れ変わってしまうと、出来上がった作品に影響が出てしまい、徐監督も「作品の仕上がりが変わってくる」とコメントしています。

 

「I missed you(原題:我沒有談的那場戀愛)」主要な製作スタッフ:
●監督、脚本|徐誉庭
●監督、脚本|徐誉庭
著名な作家、演出家であると同時にスタジオの責任者。
長年舞台の監督兼脚本を務めた経験から、映画作品への熱い想いを募らせ、作品を制作するための知識を身に付けることになる。これまで手掛けてきた作品は数々の賞を獲得しているだけではなく、韓国や中国でもリメイクの版権獲得の動きがあり、著作の小説は日本の出版社の注目を集め、漫画やドラマに改編するなど、素晴らしい成果を挙げてきたが、「映画監督になる」という夢を忘れることはなく、テレビドラマ2作品の監督として腕を磨いた後、「先に愛した人(原題:誰先愛上他的)」という作品で映画監督としてデビューをする。この映画は高く評価され、第92回アカデミー賞国際長編映画賞に台湾代表作として選出された。
●監督|許智彥
●監督|許智彥
大学時代に映像制作にのめり込み、卒業後、自らを売り込み、MVを撮影する機会を得る。
低予算の中で強い熱意と圧倒的なアイディアにより「1人8役」の特殊効果を編集で作り出し、監督としてのキャリアをスタートさせた。大胆かつ多様な映像作品で新世代のMV監督として注目を集める中、創作意欲はMVだけにとどまらず、演技指導を得意とする徐氏と出会ったことで映像制作が得意な許氏との完全無敵のダブル監督が誕生した。
●美術指導|陳炫劭
●美術指導|陳炫劭
仙草という愛称で呼ばれている陳氏は、アルバムデザインや広告、MV、及び数多くの映画作品で美術指導とデザインを手掛けてきた。
徐氏は陳氏の才能を高く評価していたこともあり、今作品でも起用となった。
手掛けてきた主な映画作品として、「目撃者」、「紅衣小女孩2」、「血観音」などがある。

 

*本記事は徐監督、許監督並びに美術指導の陳氏へのインタビューに基づき作成されました。
インタビューにお答えいただきましたことに心より感謝いたします。
本作品について詳しく知りたい方はFacebookの公式ページをご参照ください。
URL:https://www.facebook.com/IMISSEDYOU2021

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