ダイナフォントストーリー
2020年11月09日

間違えにくく、読みやすく、そして、美しい文字「UD明朝体」が提案する、これからのライフスタイル

多摩美術大学教授 永原康史先生に聞く

多摩美術大学教授 永原康史先生およびダイナコムウェア書体デザイナー 新海真司

 
 
紙媒体からデジタルデバイスまで多様化する社会で、文字の役割が高まる中、ダイナフォント2020年の新書体としてリリースされたUD明朝体。
その使用感やUDフォントに求められるものを、多摩美術大学教授・永原康史先生にお伺いしました。
また、UD明朝体についての解説を永原先生とともにダイナコムウェア書体デザイナー・新海真司が担当させていただきました。
誰もが間違えずに読めるUDフォントの重要性
 Webやデジタルデバイスの普及により、文字を読む場面は多様化し、読む側の意識、ひいては社会が変化していく中、ユニバーサルデザインに基づいた文字デザインである「UDフォント」について、多摩美術大学情報デザイン学科教授の永原康史先生にお話を伺いました。

「これまで紙媒体だったものがデジタル化されていき、多くの人がデジタルメディアに触れる機会が増えていくに従って、UDフォントのように多くの人へ向けたフォントの需要も高まっていくことは十分に考えられます。それを裏付けるように、すでに食品の表示ラベルや家電製品の取り扱い説明書、注意書きなどは、ほとんどUDフォントに移行しています」(永原先生)
 UDフォントとは、読みやすさや可読性が高いとも言われていますが、永原先生によれば〝読みやすい〟書体と〝間違えずに読める〟書体は性質が違うものとのことです。
「読みやすさという可読性と、間違えずに読める判読性は別のものですから、間違えずに読めるようにする「判読性」が求められる場面ではUDフォントが重要になってきます。食品や医薬品などでは誤読をしないように情報を伝える必要がありますから。UDフォントは判読性を高めるために、濁点や半濁点を大きく作るなどの工夫をしています。また、数字などを認識しやすいデザインにしているのも判読性を高めるためです」(永原先生)
 これからUDフォントが求められる場面として、どのようなものが考えられるのでしょうか?
「UDフォントが求められるのは、公共性の高い場面や教育の場などが考えられます。特に義務教育の場では、読むことへの敷居を下げていくことが必要になりますので、UDフォントが積極的に採用されていくことでしょう」(永原先生)


ダイナフォントの新書体「UD明朝体」の魅力とは
 続いて、ダイナフォントの2020年新書体「UD明朝体」について永原先生とともに、ダイナコムウェアの書体デザイナー・新海真司を加えて解説していただきました。
「UD明朝体は文字を組んだ時に全体の濃度がそろう印象があります。UD明朝体のコンセプトとして、均一に見えることを大切にしていると感じました。また、太いウェイトはもちろんですが、W2やW3でも「かな」が弱くならずにしっかり読めるように作ってあるという印象を受けました。ウェイトを上げても漢字だけが強くなってしまわず、かなもしっかり強くなるし、細い時も漢字とのバランスがいいですね」(永原先生)
「UDというと字面を大きくするといった考え方がありますが、字面を大きくするがゆえに、文字がそのものの自然な形が崩れてしまわないことを大事にしています。それが読む側に違和感を感じさせないことだと思っています。また、太いウェイトと細いウェイトでは考え方を変えて、小さい級数でもくっきり線が出るように、細いものは縦と横のコントラストがあまりつかないように作りました」(新海)
「ウェイトごとにチューニングしているのが凄くよく分かりました。かなはそもそも縦に書くようにできていますが、UD明朝体は横で組んだとき、ラインが揃っているのも良いですね」(永原先生)
「太いウェイトでは横のラインがある程度揃うように、細いウェイトでは縦組でも使えるように設計しています。また、デジタルデバイスで表示した場合、どのぐらいのコントラストが最適なのかを考えながらデザインをしていきました」(新海)

 UDフォントの需要が高まる中で2020年にリリースされたUD明朝体は、紙媒体でもデジタルデバイスでも需要に応えることができる、幅広い用途で使えるUDフォントといえるでしょう。


ダイナコムウェアのUDフォントへの取り組み
 ダイナコムウェアではUDフォントとしてUDゴシック体とUD丸ゴシック体をリリースしてきました(※UDゴシック体は繁体字版・簡体字版含む)が、漢字文化圏で重要な書体のひとつである明朝体にUDの考え方を導入し、その漢字と調和するかなを書体デザイナー・新海真司さんが担当し、UD明朝体を完成させました。
 UD明朝体の漢字は、広めのふところと、太さを持たせた横画、アクセントに丸みを持たせて、ちらつきや引っ掛りを抑えています。かなでは、起筆をシンプルにエレメントの先端を丸く処理して、漢字との調和を保ちつつ、かな本来の形や筆の運びをしっかりと持つデザインにまとめています。
 また、ウェイトもW2~W7と6種類のファミリーを揃えた、タイトルから本文まで幅広く使用できる、すべての人に美しく読みやすい明朝体になっています。


 
 
多摩美術大学教授 永原康史先生
永原康史 Yasuhito Nagahara
グラフィックデザイナー。多摩美術大学情報デザイン学科教授。電子メディアや展覧会のプロジェクトも手がけ、メディア横断的なデザインを推進している。2005年愛知万博「サイバー日本館」、2008年スペイン・サラゴサ万博日本館サイトのアートディレクターを歴任。『インフォグラフィックスの潮流』など著書多数。タイポグラフィの分野でも『日本語のデザイン』など多くの著作を発表。2012年には、フォント「フィンガー」をリリースした。


ダイナコムウェア 書体デザイナー 新海真司
ダイナコムウェア 書体デザイナー
新海真司 Shinji Shinkai
1985年生まれ。長野県出身。Web制作会社を経て、フリーランスとして日本および台湾で活動後、ダイナコムウェアに入社。ブリッジSEとして当時、開発中だったWebフォントクラウドサービス「DynaFont Online」チームと合流し、同サービスのリリースから運用まで携わる。その傍ら、鳥海修氏が主宰する「文字塾」にて書体デザインを学び、「Morisawa Type Design Competition 2019」では本文用書体で入賞を果たす。現在、ダイナコムウェアの書体デザイナーとして「かな」を担当しており、2020年6月5日には自身が担当した「UD明朝体」、同年10月19日には「青花ゴシック体」がリリースされた。
・UD明朝体に関する詳細はこちら
・青花ゴシック体に関する詳細はこちら
・「文字」に尽くす、書体デザイナーという生き方はこちら



その他のUDフォント:UDゴシック体
・W2の詳細はこちら
・W4の詳細はこちら
・W6の詳細はこちら



その他のUDフォント:UD丸ゴシック体
・W2の詳細はこちら
・W4の詳細はこちら
・W6の詳細はこちら

 
紙媒体からデジタルデバイス、サイネージ、プロダクトデザインまで幅広く活用できるUD明朝体
UD明朝体書籍使用例
文庫の本文は通常レギュラーやW3のウェイトで組まれますが、UD明朝体はW2でも十分な視認性を保ち、ルビの文字も読みやすくなっています。組み上りもすっきりとした印象なのも特徴です
 
 
UD明朝体電子書籍書籍使用例
紙媒体と同じ内容を高解像度のデジタルデバイスで表示すると、UD明朝体W2のままでもほぼ同じ読書体験ができます。メディアの違いを意識することなく使うことができるデザインのフォントとなっています
UD明朝体活用例01
健康食品やサプリメントなどは、効果や効能などの誤読を防ぐことが必要となるので、文字の判読製の高いUD明朝体が適しています
 
 
UD明朝体活用例02
W2からW7まで6種類のファミリーで展開しているので、UD明朝体だけで構成しても強弱のあるデザインを作ることができます
UD明朝体の特長
かなの特長 その1
と ま:起筆がシンプル。
わ け:エレメントの先端を丸く処理





かなの特長 その2
かな本来の形と同じ筆の運び


 
 
漢字の特長
東:アクセントを丸くし、ちらつきを抑える。
宮:字面が大きく、ふところが広い





英数字の特長
先端の丸みを抑え、柔らかく心地よい印象に
UD明朝体概要
UD明朝体「読」
UD明朝体
カテゴリー:基本書体
書体の太さ:W2/W3/W4/W5/W6/W7
UD明朝体は、ユニバーサルデザイン(UD)をコンセプトとして視認性と可読性を高め、細部まで親しみやすいデザインにすることで、高齢者や弱視(ロービジョン)の方々を含めて全ての人が読みやすいように開発された美しい明朝体です。
「UD明朝体」書体見本
本記事は2020年9月29日に発売された「+DESIGNING Vol.50」から転載させていただいています。
また、本記事では「金剛黒体」と「UD明朝体」をWebフォントとして表示しています。

文:島崎肇則
 

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