連載コラム
2011年08月06日

ぬらくら 第11回 JA2233 Ka8B

真っ青な空に浮かぶ純白の翼に、身を委ねるようにして漂う真っ赤な機体。
ゆったりと旋回したかと思うと、見上げている頭の上を音もなく通り過ぎてアッという間に小さくなってしまいます。
のんびり飛んでいるように見えるグライダーですが時速100km以上で飛んでいます。
ここは渡良瀬川が利根川に合流する地点から利根川を2kmほど上流に遡った加須市側の河川敷、その河川敷にグライダーが発着する「読売大利根滑空場」があります。
滑空場と言っても河川敷が整地されているだけで建物などは建っていません。
利根川の土手の上から見ただけは滑空場にグライダーの姿がなければただの河川敷にしか見えません。
ここで活動してるのが「NPO法人 学生航空連盟 (SAF/Student Air Federation) *1」です。
多くの学生・社会人ソアリスト達がグライダーの滑空を楽しみ、操縦免許の取得を目指して訓練を重ねています。
冒頭に書いたグライダーは学生航空連盟が所有する機体で、機体記号JA2233のKa8Bと呼ばれる単座機(一人乗り)です。
Ka8Bは鋼管の胴体・木製の主翼・羽布張りです。
ドイツのアレキサンダー・シュライハー社 (Alexander Schleicher) の名設計者ルドルフ・カイザー (Rudolf Kaiser 1991年没) が設計したもので、1957年から1976年にかけて875機が製作された名機です。
JA2233 Ka8Bは48年前の1963(昭和38)年12月17日にドイツで製造されました。
その後、ドイツのハンス・アイヒェルスドルファー (Hans Eichelsdorfer) 社でオーバーホールされて日本に輸入されてきました。
このKa8Bは1997(平成9)年3月28日まで青山学院大学航空部で飛んでいましたが、その後の部員数減で出番も激減してしまい、以降格納庫に眠ることになってしまいました。
2006年6月まで関宿滑空場の格納庫に保管されていたJA 2233 Ka8Bでしたが、同年6月に学生航空連盟がこの機体を購入し、8月から10月にかけて連盟に所属する学生有志達の手によってレストアされ、10月15日に実施された耐空検査(自動車の車検に相当)に合格して現役復帰を果たしました。
学生達の手によって往年の名機が復活した瞬間です。
学生航空連盟は既に所有しているJA2234 Ka6E(これもアレキサンダー・シュライハー社のルドルフ・カイザー設計です)に加えてJA2233 Ka8Bを所有することになったわけです。
JAで始まる番号を機体記号と言いますがKa8BとKa6Eの機体記号は奇しくも連番、一つの飛行クラブが連番で機体を持つことは大変に珍しいことです。
さらに奇遇と呼ぶべきはJA2233 Ka8Bがハンス・アイヒェルスドルファー社でオーバーホールを受けていたときに、一緒にオーバーホールを受けていたのがJA2234 Ka6Eだったことでしょう。
*1 NPO法人 学生航空連盟   
 

タイトルの「ぬらくら」ですが、「ぬらりくらり」続けていこうと思いつけました。
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  著者 Information

著者
ダイナコムウェア コンサルタント
mk88氏

PROFILE●1942年東京都生まれ。
1966年桑沢デザイン研究所ビジュアルデザイン科卒。
設備機器メーカー、新聞社、広告会社を経て、
総合印刷会社にてDTP黎明期の多言語処理・印刷ワークフローの構築に参加。
1998年よりダイナコムウェア株式会社に勤務。
Web印刷サービス・デジタルドキュメント管理ツール・電子書籍用フォント開発・
フォントライセンスの営業・中国文字コード規格GB18030の国内普及窓口等を歴任。
現在はコンサルタントとして辣腕を振るう。
Blog:mk88の独り言

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