PICK UP 書体
2019年07月17日

DynaFont PICK UP書体-欧陽詢体

欧陽詢体

DynaFont PICK UP書体--欧陽詢体


唐代の楷書体から見える、
盛唐という輝かしい時代。

唐の四大家の一人である欧陽詢は、これから幕を開ける「盛唐」という時代の繁栄を物語るような勢いのある筆遣いで書を書き、世に示した人物です。唐が建国された当初、国が法律を定めたように、欧陽詢も自らの書を確立させました。その書は楷書の典型として今に伝わり、高い評価を受けています。欧陽詢の書は「文字の太さが程よく、力強さがみなぎっている」と評され、石碑に刻まれました。これまで多くの人々が拓本をするだけで筆先から欧陽詢体の素晴らしさを感じ取り、自分の書として書き記してきたのです。
 
臨書から欧陽詢の書体を理解する
ダイナコムウェアのフォントデザイナーは長年に渡って培ってきた書道のノウハウを生かし、欧陽詢の代表的な碑文である「九成宮醴泉銘」に刻まれた精神を文字の画線に込め、古典的な文字を再構築し、現代に合った新たな毛筆系書体として欧陽詢体をデザインしました。

何千年も前に石碑に刻まれた文字が現代でも欧陽詢の書風を理解するための重要な資料となっています。欧陽詢体は石碑に刻まれた文字の筆遣いを研究することで唐という時代の勢いを表現しつつ、欧陽詢らしさが際立つ書風の魅力が伝わるデザインとなっています。 フォントデザイナーは、まず初めに「双鉤填墨(そうごうてんぼく)」という唐代に文字を写し取るために用いられていた方法を参考に、文字の輪郭を細い線で写し取り、内側を塗りつぶすことで碑文に込められた雰囲気を表現しました。


 
*九成宮醴泉銘とは
唐の太宗が九成宮に避暑に出向き、散歩をしていた時のこと、偶然醴(あまざけ)のように美しい泉が湧き出したので、これは太宗皇帝の徳の高さを感じた天帝が下された吉兆であるとし、魏徴に命じて撰文し、欧陽詢に書かせて立碑しました。
拓本のデジタルフォント化
古の書に対する尊敬の念と深い知識という2つの要素が揃って初めて古典と向き合うことができます。その結果、臨書を通じて自分なりの新たな書体を誕生させることができるのです。

「九成宮醴泉銘」は全部で千文字足らずの文章です。フォント化にあたり、当時石碑に書かなかった文字や現代では使用されていない文字もあります。そこでフォントデザイナーは碑文に刻まれた文字を欧陽詢体の基本的なコンセプトとしながら、臨書を通して感じ取った欧陽詢の文字の運筆や癖のようなものを加味していく事で、偏と旁を作成し、石碑に刻まれていない文字を設計していきました。そこにはフォントデザイナーが長年培ってきた書道の知識や技が駆使されています。
DynaFont PICK UP書体--欧陽詢体筆遣い
書道の趣と文字の共通性…程よいバランスとは
欧陽詢体は伝統的な楷書体をデジタルフォント化した書体です。有名な書道家によって書かれた書の趣を残しつつもデジタルフォントに相応しい書体にするためには、デザインの再構築に加え、文字全体に統一性を持たせるためのデザインの基準を設定しながらフォントを設計していかなければなりません。

筆で文字を書く書道は、筆遣いや芸術性に重きを置きますが、フォントは文字同士の「共通性」を重要視します。毛筆書体のデザインでは、文字の点や線の一つ一つを決定していく過程が、まるで理性や感性といった曖昧な感覚の中で正解を探す難しい調整が必要となります。「九成宮醴泉銘」に刻まれた文字は、元々、大きさや文字の太さにバラつきがありましたが、フォント化する場合は文字を組んだ時にバランス良く、はっきりと見やすくするために文字全体に共通するルールが必要となります。
フォントデザイナーはバランスを考慮しつつ、書の味わいが失われないように配慮しながら文字の大きさを均一に整え、太さのバラつきが激しい文字に手を加えて修正していきました。
DynaFont PICK UP書体--欧陽詢体01
石碑に刻まれていた文字から復刻させた欧陽詢体。
DynaFont欧陽詢体のデザインコンセプト
DynaFont欧陽詢体は欧陽詢によって書かれた文字が刻まれた「九成宮醴泉銘」の碑文から生まれた書体です。厳しい造形と上品な美しさ、角張った筆画といった特長に加え、狭いふところと伸びやかなはらい、縦長の字形に高い重心といった書道の基本となる楷書体を手本に開発されています。


DynaFont PICK UP書体--欧陽詢体02

▼欧陽詢体の書体見本
DynaFont PICK UP書体--欧陽詢体04
おすすめの活用方法
欧陽詢体は詩や散文、挨拶状、手紙や商品パッケージなどのデザインや、歴史ゲームなどのインターフェースでも古典的な雰囲気を演出することができます。
DynaFont PICK UP書体--欧陽詢体03
デザイナーの制作秘話
DynaFont欧陽詢体のデザイナーはフォントデザイナーとして長年のキャリアを持ち、自身も書道を学ぶなど、楷書体を愛してやまない人物です。長年に渡って書道に取り組んできた経験から、漢字の構造に関する深い知識を持ち合わせていたことから、石碑に刻まれた古典をデジタルフォント化することになりました。

Q.毛筆書体をデザインするためには、書道の基礎がないとデザインできないのですか?
デザイナー:必ずしもそうとは限らないです。私がフォントをデザインしはじめた頃は、鉛筆で下絵を描いていました。まず初めに文字の輪郭をかたどってから、内側を塗りつぶしていく方法なので、最初から筆で文字を書いているわけではありません。普段からできる限り文字の形や骨組みを研究していると、書道の経験が浅くても良い文字をデザインできると思いますよ。

Q.どのような書風が好きですか?
デザイナー:欧陽詢体の厳しい造形と美しさはまさに私好みの書体だと言えます。また、蘇東坡と智永の作品も好きな書風です。蘇氏の書は厚みがあり、筆画に伸びがあって見た目にも力強さを感じることができ、素朴で天真爛漫なイメージがします。智永は王義之の7代目の子孫と言われており、家で書を学んだ人物です。智永の文字は剛と柔を兼ね備えており、平べったく、素朴な骨格となっています。

Q.最近も書道の練習をしていますか?
デザイナー:筆で書をかくことは未だに毎日欠かせない習慣となっています。フォントをデザインする際に、必ずしも書道を学ばなければならないというわけではないのですが、書道に時間をかけることによって、自然と文字の構造を理解することができるようになります。 私の場合は書道が楽しみになってしまったんですけどね!

※欧陽詢体は、ダイナフォント年間ライセンス「DynaSmart」シリーズに収録されています。DynaSmartシリーズの詳細はこちら

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