連載コラム
2010年08月06日

ぬらくら 第2回 ファミリー

夏真っ盛り、皆さん、元気でお過ごしのことと思います。
mk88も利根川の河川敷をうろついて腕だけが真っ黒です。
この頃、薄皮がむけ始めました。  

夏と言えば海にプール(縁が無くなってから何十年も経ちますが)、 ほっそりスリムなお父さん、ぷっくり丸めのお母さん、そしてそれぞれによく似た男の子と女の子。はたから見れば直ぐに家族だって分かりますね。

フォントにも家族(ファミリー)があること、ご存じでしたか?
一つのフォント名でほっそりしたフォントからぷっくりとしたフォントまで、異なる太さが用意されているフォントがあります。この同一フォント名のグループを○○○フォント・ファミリーと言うことがあります。  

ごくごくたまにですが同じファミリーなのに字の形が違うと指摘されるお客様がいらっしゃいます。なぜ、そう思われるのか初めの内は分かりませんでした。  

活字の時代はどうだったのだろうと思い、手元にある『編集ハンドブック/デザイン編集室編/ダヴィッド社/1964年刊』に掲載されている活字の見本帳を見てみました。  

明朝体の同じ文字が、サイズ(号あるいはポイント)が異なるだけで形が違うのが見て取れます。 例えば「さ」の二画目と三画目が活字のサイズによって繋がったり離れたりしています。  

活字の時代はサイズが違うだけで文字の形が違うということがあったんですね。  
いわんや同一フォント・ファミリーで同じ文字の形に違いがあっても、誰も疑問に思うことはなかったように記憶しています。
 
同一ファミリーの同じ文字でも、その文字を構成している縦線や横線、点の位置などは、太さが変わればその文字の形が占める平面の中で、それぞれが占めるバランスも変わります。  
細い文字と太い文字が相似形というわけにはいきません。
 
印刷に使われる文字が活字から写真植字(写植)に変わったとき、文字のサイズ(級、Q)は光学的に変えるという画期的な方法が採用されます。  
つまり、一つの書体の「さ」は大きくても小さくても相似形になりました。  

写植の後はパソコンによるDTPの時代です。  
文字の開発もコンピューターで行われるようになります。  

同一フォントの異なる太さ(ファミリー)を作るときにコンピューターならではの手法がとられます。
一番太いフォントと一番細いフォントの間の、任意の太さのフォントを生成する「Interpolation(インターポレーション)」という機能がそれです。  
しかし、これとて細いフォントと太いフォントの同一文字は必ずしも相似形ではないのですが…。  

ここで、先程のお客様からの指摘です。  
活字の時代のファミリーはサイズや太さが違えば同一文字の形の違いは当たり前でしたが、コンピューターで文字を制作する現在、フォント・ファミリーの定義もデジタルフォントの時代に合わせて定義し直した方がいいのかも知れません。

タイトルの「ぬらくら」ですが、「ぬらりくらり」続けていこうと思いつけました。
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  著者 Information

著者
ダイナコムウェア コンサルタント
mk88氏

PROFILE●1942年東京都生まれ。
1966年桑沢デザイン研究所ビジュアルデザイン科卒。
設備機器メーカー、新聞社、広告会社を経て、
総合印刷会社にてDTP黎明期の多言語処理・印刷ワークフローの構築に参加。
1998年よりダイナコムウェア株式会社に勤務。
Web印刷サービス・デジタルドキュメント管理ツール・電子書籍用フォント開発・
フォントライセンスの営業・中国文字コード規格GB18030の国内普及窓口等を歴任。
現在はコンサルタントとして辣腕を振るう。
Blog:mk88の独り言

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