「テロップ書体」開発秘話
DynaFont テロップ書体が明朝体、ゴシック体に対応
明朝体は「横線に比べて縦線が太い」という特長があります。ウェイトが太くなると、基本的には縦線に変化が見られます。
テロップには内容を引き立たせる効果があります。そして、昨今、テレビ番組においてテロップはとても高い頻度で使用されており、映像を陰から支えるバイプレーヤーといえます。テレビ番組では様々な効果を加えたデザイン書体から情報を補うためのサイドスーパーに至るまで多種多様な書体がテロップ書体として使用されています。例えばバラエティー番組では書体の力を借りて視聴者に心情や臨場感を伝える場面がよく見られます。ダイナフォントも様々な映像作品で採用されており、その一例として視聴者に温もりを感じてほしい場面では娥眉明朝体やロマン書体シリーズが使用されていたり、恐怖感などを感じてほしい場面では康印体が使用されています。こうした書体がテロップとして使用される事で映像に「表情」が加わり、画面に生き生きとした効果が生まれます。
映像画面でベーシックな書体を使うコツ
テレビ番組の編集・レイアウト作業では、一般的に視聴者が瞬時に情報を判断できるようにはっきりと鮮明に表示させることが求められており、バラエティー番組で使用される、個性を表現するデザイン性の高い書体においても、その多くは情報を際立たせ、視聴者が情報を受け取りやすく伝達する役割を担っています。
さらにテロップにおいて読みやすさを重視したい場合は視認性の高いベーシックな書体の使用頻度が高くなります。特に視聴者に情報をしっかりと伝達するための補助的な役割としてそこで、ゴシック体や明朝体が使用されることが多くなりますが、映像画面では背景が常に変化することや、様々な色で構成されることから、文字の視認性が大幅に低下する可能性があります。
明朝体を例に挙げてみますと、横線が縦線に比べて細いという特長があるため、映像画面で使う時には横線がちらつきやすく、鮮明に表示されないという問題が起きます。特に黒い背景に白抜きの文字を組み合わせた場合、画面をよく見ないと文字を判別できないのでストレスに感じることもあります。また、明朝体にはセリフや打ち込みといった特長をみてもテロップ書体として最適とは言い難い書体です。こうした観点から比較してみると、線の太さが均一であるゴシック体の方が映像画面には適しているといえます。しかし、優雅な雰囲気と趣のある明朝体は、堅いイメージの漢字に毛筆で書いたような柔らかい雰囲気の仮名を組み合わせているのでシンプルですっきりとした雰囲気のゴシック体には真似できないような人間らしく温かみのある書体でもあり、明朝体をテロップとして使用されることが多々あります。
そこで明朝体をテロップとして使用する場合、画像編集者は文字を太くする、縁取る、テロップベースなどの工夫を施して背景と文字を区別するという対策方法を取っています。
ダイナコムウェアは、あらゆるサイズの液晶画面に対応したテロップ書体として、平成明朝体S、平成ゴシック体Sをリリースしました。 「平成明朝体S」は、ちらつきやすい明朝体の横線及びアルファベットのSや数字の9などの太さと大きさを調整することで、視認性を向上させています。また、ふところの空間を均等にデザインすることで、画面表示においても快適な読み心地になるように工夫が施されています。
また、「平成ゴシック体S」は、通常のゴシック体よりもアルファベット、数字、記号を大きくしているほか、ふところを広げたことで、背景の色が暗い場合でも視認性を損なうことがないようにデザインされています。
それぞれ4つのウェイトがあり、さまざまなテロップで幅広くご利用いただけます。
※平成書体とテロップ書体は全て同サイズでの比較となります。
テロップ書体 書体見本
テロップ書体 活用例
デザイナーインタビュー
Q.どのような書体がテロップに適していると思いますか?
デザイナーA:私は映像編集者ではありませんが、テロップを使う意味や目的からイメージしながら回答させていただきます。一般的に画面上に表示させるテロップは、高い可読性や視認性などが求められるなど効果を優先することが多いのでベーシックな基本書体が一番適していると思います。逆に横と縦の比率が近い方が視覚的に見た時の効果が高いと思うので極端に縦長や扁平の書体はテロップ書体には向かない気がします。また、デザイン性の高い書体や手書き風の書体は、視認性などの観点から、タイトルなどに使う方がより一層の効果が期待できるように感じています。
デザイナーB:金剛黒体が適していると思います。金剛黒体は元々小型の液晶向けに開発された書体なので、小さな文字を表示するために文字を最適化しており、ふところのバランスも均一に調整されています。さらにファミリーとして展開されているので、どのようなシーンにも幅広く活用いただけけると思います。また「シネマ凜」は、もともと映画の字幕タイトルライターによる字幕文字がベースとなっているので、味わいのある文字に加え、方形に近い字形と適度に広げられたふところでテロップ書体としても適した書体だと思います。
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