メイキングストーリー
2018年08月27日

舞い上がる古代の息吹 / 甲金文体

甲金文体

ダミー


【はじめに】

甲金文体は西周早期の「大盂鼎(だいうてい)」に刻まれていた金文を参考に、甲骨文の幾何学的な模様を融合させることで古代の素朴さを再現して新たな印象を作り出した書体です。丸みを帯びたしっかりとした線質に加え、商・周時代の鋳込み文字といった特長を持ち合わせています。
 

【デザインの発想】

舞い上がる古代の息吹

中国に古くから伝わる先人たちの知恵の代表的な存在として漢方薬が挙げられます。老舗の漢方薬店にある、落ち着いた雰囲気の薬箪笥の小さな引き出しには長年蓄積されてきた知恵の数々が詰まっています。そこで生成される生薬は組み合わせにより、様々な治療薬となる何千年もの歴史的な背景を背負った存在です。甲金文体の文字もまた、薬箪笥の小さな引き出しにある生薬同様に何千年もの歴史的な背景を背負った小さな伝達者といえるでしょう。


【撮影】

老練な薬剤師が薬箪笥の引き出しを開け、生薬を慣れた手つきで取り出し、調合して粉末状にしていきます。薬研の車輪を回転させる際に生薬の粉が舞う様子は、一字一句に小さいながらも何千年も積み重ねられてきた甲金文体のような先人たちの知恵が秘められており、そのどれもが欠かせない存在であることを表現しています。

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【制作秘話】

生薬を粉状にする工程を撮影するために、撮影チームは、まず初めに年代物の薬箪笥を探し出しました。漢方薬店に配置する年代物の薬箪笥は撮影前に汚れを丁寧に落としてから引き出しの中に生薬を収納しました。こうした細やかな配慮により、レンズ越しに見る世界は、まるで老舗の漢方薬店に居るかのようなリアルな描写になりました。また薬研を回転させるシーンは、回転する度にあたかも時間が巻き戻されていくような演出になっています。生薬を粉状にしていく工程では、粉が舞い上がる瞬間の様子を撮影するために光の角度に入念に気を配り、何度も調整した結果、ようやく完璧な撮影を成功させることができました。

甲金文体「吹」
甲金文体
カテゴリー:毛筆系書体
書体の太さ:W6
甲金文体は千年前の古代文字の姿を再現しつつ、現代でもそのまま使えるようにデザインされた書体です。漢字のデザインを日本語のかな、欧文、数字、符号、記号などに応用することで、現代においても各種印刷物やデジタルデバイスに活用いただけるようなデザインで開発されています。
金剛黒体 書体見本

甲金文体グッドデザイン賞受賞
古代文字の美しさを再現した甲金文体が国際的デザイン賞であるグッドデザイン賞を受賞
「2018年度グッドデザイン賞」において数々の応募作品の中からダイナフォント2018年新書体「甲金文体」が受賞いたしました。
難解な先秦時代の古代文字を識別しやすいようにリファインすることで、デジタルフォントにおいても脈々と続く文字文化の素晴らしさが取り入れられている点で高い評価を受けました。

甲金文体グッドデザイン賞受賞に関する詳細はこちら

甲金文体A Win版はこちら / 甲金文体A Mac版はこちら / 甲金文体B Win版はこちら / 甲金文体B Mac版はこちら
※甲金文体は、ダイナフォント年間ライセンス「DynaSmart」シリーズに収録されています。DynaSmartシリーズの詳細はこちら

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