DynaSmart V採用事例インタビュー:『#コンパス』クリエイターインタビュー
文:神山大輝 本インタビュー記事はGameBusiness.jp特集記事「『#コンパス』の世界観を陰で支えるダイナフォント年間ライセンス「DynaSmart V」-本作のクリエイター二人にその重要度を訊いた!」より転載。
あらゆる作品世界を彩るアートとしての側面を持ち、当然ゲーム制作においても欠かせない要素でありながら、その選定方法やライセンス周りについて中々理解してもらえないのが現状です。
そこで今回は、ゲーム業界専門メディア「GameBusiness.jp」編集部協力のもと、フォントの重要性を知るNHN PlayArt株式会社#コンパスチーム所属の現役クリエイター藤田大介氏と関戸みきえ氏にインタビューを敢行。
人気スマホゲーム『#コンパス~戦闘摂理解析システム~(以下#コンパス)』の開発・運用に携わる両氏に多くのゲーム作品で採用されているダイナフォント(DynaFont)の魅力について語っていただきました。
藤田大介氏(以下、藤田氏):『#コンパス』は弊社とドワンゴさんの共同開発による3対3のリアルタイム陣取りバトルゲームで、本格的なアクション、MOBAのような戦略性、カードゲームのような駆け引き要素が詰め込まれています。登場キャラクターを絵師やボカロPがプロデュースしたり、積極的にオフラインイベントも行われたりと、ドワンゴさん有する「ニコニコ動画」コンテンツを中心に独自文化を築いているゲームです。ちょうど月末(*)には「ニコニコ超会議2018」も控えており、ユーザー同士の交流も盛んです。
(*)取材日は2018年4月20日。イベントは4月28日・29日に実施された。
――お二人は本作において、何の制作を担当されているのですか?
藤田氏:アートディレクターという立場で、主に3D周りと演出のディレクションを行っています。元々私は15年ほどコンソール業界におりまして、その後スマホゲームのアート関連の仕事が中心になっています。
関戸みきえ氏(以下、関戸氏):ヒーローや背景などの2Dアート・デザインからUIまで幅広く担当しています。
――ちなみに開発には、どの程度の期間を要したのでしょうか?
藤田氏:2015年10月からスタートし、リリースが2016年12月だったので……、約14ヶ月ですね。
――たったの1年強で!その短期間であのボリュームの『#コンパス』を完成させたのですか?
藤田氏:そうですね。私を含めて元々コンソールゲーム作りに長年関わってきたメンバーが多く、アクションゲーム開発に対するリテラシーが高かったおかげだと思います。スタッフは当時4名で、私がディレクションと最初のMAPを担当し、あとはモデラーとアニメーションに1名ずつ、UIや2Dアートの部分を関戸が担当しました。 関戸氏:初期から作中に登場するユニット「十文字 アタリ」「ジャスティス ハンコック」などのイラストは私が描いていて、今回のテーマであるフォント選びの手伝いも行いました。
デジタル×ミリタリーな世界観。
そして使いやすさも兼ね備えたフォント探し
――そうだったんですね。では早速、そのことについて関戸さんにお伺いします。開発のどの段階で使用フォントが決まったのでしょうか?
関戸氏:選定を行ったのはある程度ゲームデザインが固まってからでしたね。最初は仮当てでした。
藤田氏:『#コンパス』のゲーム内容はキャラクターを操作してポータルキーを奪い合うというものなのですが、初期はその要素のプロトタイピングに注力していました。その後のアート部分を作り込んでいく段階で、フォントの調査・選定がありました。
――プロトタイプ後の段階で……ということですね。どういった基準でまずフォントを調査されたのでしょうか?
藤田氏:弊社の林(*)が企画段階から絵のイメージをしっかり持っているタイプなのですが、その時のオーダーが「デジタルミリタリー」でした。なので、それが第一の基準になりましたね。
(*)『#コンパス』プロデューサー・林智之氏。「林P」という愛称で親しまれている
――あまり聞き馴染みのない「デジタルミリタリー」という言葉について、もう少し詳しくご説明いただけますか?
藤田氏:『#コンパス』は初期から対戦ゲームにするというコンセプトがあったと同時に、ドワンゴさんとの共同開発ということもあり、個性的なキャラクターを多く採用したいなぁというのが構想としてあったんです。それなら色んなアバターを自由に変えて遊べる方が良いよね。そうなるとSNSっぽいデザインの、つまりはデジタル空間が舞台だとフィットするよねと。これらを統合して、デジタルだけど少しミリタリーっぽいという「デジタルミリタリー」という言葉になったものと思います。
――なるほど。たった1ワードだけで、ここまでコンセプトの共有が図れるんですね!
藤田氏:いやあ、長年の付き合いのおかげですかね?これは。
参加者一同:(笑)
――関戸さんは「デジタルミリタリー」というキーワードをもとに、どういう経緯で「ダイナフォント」に辿り着いたのかをお聞かせください。
藤田氏:チームで共有しているEvernoteに参考になるフォントを貼ってくれたりもして。最終的に選ばれたのがこれです(カタログのページを指しながら)。
関戸氏:少し角張った、四角い文字がいいなと、軍事モノの画像を参考にしながらネットで一生懸命調べましたね。試行錯誤を繰り返し、ダイナフォントの華藝体やレンガ体なども候補に挙がりましたが、最終的に最も世界観にマッチしたダイナフォントの綜藝体に決定しました。
関戸氏:バナーや広告にも同じフォントを利用する予定でしたので、小さくても視認性が良くて、大きいとインパクトがあるというのがポイントでした。このようなデザイン性が強いフォントは置くだけで画面が華やぎます。悪くない候補は他にもあったのですが、「ダイナフォント」と比べると漢字が足りなかったり、ステンシルを入れてみた時に画面写りが悪かったりしまして……。それらを鑑みてこちらをチョイスしました。
フォント選びで大切なのは「世界観」を邪魔せず、
ユーザーのストレスにならないこと
――ゲームにはRPGやホラーなど数多くのジャンルが存在します。本作は対戦ゲームですが、それらに準ずるフォントは決まっていたりするのでしょうか。
藤田氏:いえ、特に決まってはいません。アートディレクターを担当する際は、2Dデザイナーに「世界観に合っているもの」という指示を毎回しています。そもそも私自身は3Dデザイナーなので、選定まで深く関わったりはしないのですが……。その辺り、関戸さんどうですか?
関戸氏:私もジャンルでというよりは世界観に合っているもの、統一感のあるものというのを意識していますね。例えばゲーム内で怖いイベントが始まったとしても、ホラー系のフォントを持ってくるのではなく、メインで使っているフォントを少し怖くデザインしなおすとか。
――なるほど。先程から「世界観と合ったフォント」という言葉が出ましたが、世界観を基準にしたフォント選びのコツなどはあるのでしょうか。
藤田氏:”感覚的に雰囲気に合うものを選ぶ”だけなら簡単なのですが、ゲーム制作の場合は、それにプラスして「加工のしやすさ」「漢字を含めた文字数の多さ」「シチュエーションごとの使い勝手」などを含めて判断します。
関戸氏:言おうとしたことを全部言われてしまったのですが……(笑)。そうですね、一般のユーザーがひと目見て「これは柔らかいものを表現したいんだな」「これは硬質なんだな」といった印象を持ってもらえるようなシンプルなものが良いと考えています。
藤田氏:あくまでユーザーが情報を得るためのインターフェイスなので、気分で変えるのではなくシンプルな考えの方が良いかもしれません。面白おかしいフォントは、文字というより絵に近い。それを踏まえて、ストレスを感じさせない文字選びをするのが重要かと。
――今回のフォントを採用するにあたり、#コンパスチームではダイナコムウェア年間フォントライセンス「DynaSmart V」のライセンス契約を結んでいると伺っています。ライセンス周りの印象についてはいかがでしょう?
藤田氏:すごく使いやすい印象です。「DynaSmart V」はゲームアプリケーションだけではなく印刷物、Web、映像、動画配信などにも使えるため、メディアミックスや作品の世界観を統一できる許諾形態になっています。割とこの辺りの契約は煩雑なものも多く、「バナーや広告で使って良いのかな?」「ここで使うのはどうだろう?」といったモヤモヤが常に頭の片隅にあるといった経験もあったのですが、ダイナコムウェアさんの場合はその辺りの心配が一切いらないのが嬉しいです。またアップグレードで、新しいフォントがどんどん追加されていくのも嬉しいですね!
関戸氏:これはライセンスではなくフォントとしての使用感ですが、漢字が多くてデザイン性が強いのが今回のタイトルに非常に合っていました。『#コンパス』はメニュー画面に1個ずつアイコンとして漢字を置いているのですが、これだけでしっかり格好良いデザイン性になっています。
©NHN PlayArt Corp. ©DWANGO Co., Ltd.
『#コンパス』公式サイトはこちら
――ありがとうございました。それでは最後に、ゲーム制作におけるフォントの重要性について何かメッセージをいただけますでしょうか。
関戸氏:フォントは絵としての魅力に関わる重要な要素。ただ文字を配置するのではなく、きちんと選定をすることで、ゲームを更に盛り上げてくれる大切な存在になると思います。
藤田氏:フォントは世界観を伝える絵としての役割と、情報を伝えるインターフェイスの役割の両面を持っています。例えばゲームの運営が長く続いたとして、「モデリングをより精細にしよう」というキャラクターやアイテムのブラッシュアップはあっても、フォントを変えようというのはなかなか無い。そういった意味で、企画の初期段階からきちんとフォントについて考えておくのは重要なことだと思います。
なお本作『#コンパス ~戦闘摂理解析システム~(以下#コンパス)』で採用されている「ダイナフォント」は、ゲームのほか幅広いエンターテインメント作品でユーザーにその世界観を伝える役割を担っています。そのラインナップは、本作で見られるサイバーチックな“綜藝体”にとどまらず、ゴシック体、明朝体といったオーソドックスなフォントから注目度の高いUD(ユニバーサルデザイン)フォント、バラエティに富んだデザイン性の高いフォント、そして中国語簡体字や中国語繁体字、韓国語、タイ語、ヒンディー語、アラビア語などの多言語フォントまで1,750書体以上を網羅。その「ダイナフォント」シリーズをゲームや映像、Web、印刷物まで余すところなく使用できるのが「DynaSmart V」の魅力です。
ダイナフォント年間ライセンス「DynaSmart V」
印刷物、映像、放送、電子書籍、ゲーム&アプリ、デジタルコンテンツ、Webデザインなど様々なコンテンツに許諾対応しています。契約台数や契約年数に応じてお得な価格で契約することが可能です。
DynaSmart Vの詳細はこちら
これまで「フォント」という要素に意識を向けたことをなかった方はぜひ一度、緻密な作品作りのために“情報を伝える最も身近なインターフェイス”の強化を図ってみてはいかがでしょうか。
元記事はこちら
実際に人気ゲーム「#コンパス ~戦闘摂理解析システム~」で使用されたフォント「綜藝体」以外にもバラエティあふれるデザインが揃ったダイナフォントシリーズには、ゲームでの使用やその世界観を形成する上でオススメのフォントが多数存在ます。中でも特にゲームでオススメのフォントを10種類厳選させていただきましたのでご紹介いたします。
フォント名:綜藝体
ウェイト:W5/W7/W9
カテゴリー:その他
通常のゴシック体よりも太く正方な字形を採用し、1文字の中に生じる余白部分を均等化、また、まっすぐ伸びた線の曲がりやハネの先端部分をややカーブさせる事で独特のポップさが生まれたデザイン書体です。ゲームでの使用のほか、コミックのタイトルやキャッチコピー、店頭POP、TVのテロップなど、幅広いジャンルや場面で活用されています。
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フォント名:華藝体
ウェイト:W4/W5/W6
カテゴリー:POP系書体
綜藝体をベースに、カーブ具合を強調しPOPさを強めたフォントです。
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フォント名:レンガ体
ウェイト:W9
カテゴリー:POP系書体
レンガブロックのようなエレメントが特徴的なPOP系書体です。
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フォント名:点々体12
ウェイト:W12
カテゴリー:ビットマップ風書体
電光掲示板をイメージし、テクノロジーを表現したビットマップ風書体です。少しレトロな感じのデジタルっぽい世界観を表現できます。
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フォント名:クラフト遊
ウェイト:W5/W7
カテゴリー:その他
遊び心にあふれる子供が書いた文字をイメージしてデザインされた書体です。その為、文字のユニークさや破調が表現されたかわいらしい印象の書体になりました。短い点や線で構成された字形は軽やかさを感じさせ、陽気で活発な雰囲気が一層、引き出されています。
クラフト遊W5 Win版フォントシミレーションはこちら
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フォント名:麗雅宋
ウェイト:W5/W7/W9
カテゴリー:ロマン風書体
明朝体のストロークをより美しく、そして特徴的にアレンジし、華麗な雰囲気を演出したロマン風書体。タイトルやロゴ、キャッチコピーなど幅広い用途で使用されている人気の書体です。
麗雅宋W5 Win版フォントシミレーションはこちら
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麗雅宋W7 Win版フォントシミレーションはこちら
麗雅宋W7 Mac版フォントシミレーションはこちら
麗雅宋W9 Win版フォントシミレーションはこちら
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フォント名:優雅宋
ウェイト:W3/W5/W7
カテゴリー:ロマン風書体
細い横線と太い直線で構成され、ストロークの先端と末端に欧文書体の花文字のような装飾が施されているのが特徴的な書体です。この特徴が古典的な洋風感を引き出し、優雅さや華やかさを表現しています。ロゴ・POP・タイトル・キャッチコピー・看板等、様々な場面で活用されているダイナフォントの代表的な書体の1つです。
優雅宋W3 Win版フォントシミレーションはこちら
優雅宋W3 Mac版フォントシミレーションはこちら
優雅宋W5 Win版フォントシミレーションはこちら
優雅宋W5 Mac版フォントシミレーションはこちら
優雅宋W7 Win版フォントシミレーションはこちら
優雅宋W7 Mac版フォントシミレーションはこちら
フォント名:ロマン雪
ウェイト:W9
カテゴリー:ロマン風書体
1925年の藤原太一著書による『図案化せる実用文字』から着想を得て、図中の婦人の華麗な装いや愛らしいスタイルをヒントにして、大正末期から昭和初期にかけての古典ロマンの雰囲気を再現した書体です。独特の字形が大きなインパクトを与える事から、ロゴやPOPなどで大きく活用できます。
ロマン雪Aとロマン雪Bで、異なるかなデザインを採用しています。
ロマン雪A W9 フォントシミレーションはこちら
ロマン雪B W9 フォントシミレーションはこちら
フォント名:ロマン輝
ウェイト:W9
カテゴリー:ロマン風書体
大正時代の伝統的な明朝体に昭和初期に発行された書籍のタイトル部分の特徴を組み合わせてデザインした書体です。縦画、横画、左はらい、右はらいなどのエレメント中に欧風装飾が加えられており、クラシカルなスタイルの中に現代的な華麗さも表現されています。小説などのタイトルや店名、ロゴ、ポスター等にオススメの書体です。
ロマン輝Aとロマン輝Bで、異なるかなデザインを採用しています。
ロマン輝A W9 フォントシミレーションはこちら
ロマン輝B W9 フォントシミレーションはこちら
フォント名:甲金文体
ウェイト:W6
カテゴリー:毛筆系体
漢字の原初形態である中国殷・周時代の甲骨文字と金文から着想を得て、古代文字の美しさを追求した書体です。甲骨文字と金文の特徴や象形文字の特性、丸みを帯びた骨太の骨格、鋳込み文字といった点を融合させることで古代の素朴さを再現し、象形文字の魅力と漢字の歴史の幕開けが感じられる書体になりました。
甲金文体Aでは古風な雰囲気を重視した、かな書体を採用し、甲金文体Bでは可読性を重視した現代風のかな書体を採用し、フォントの使用用途により2種類のデザインをお選びいただけるように配慮しました。
甲金文体A W6 フォントシミレーションはこちら
甲金文体B W6 フォントシミレーションはこちら
ダイナフォント(DynaFont)をゲームや映像などで使用する場合、DynaFont年間ライセンス「DynaSmartV」をご契約いただく必要があります。
またコンシューマゲームやスマートフォンゲーム、娯楽遊戯機器などにダイナフォントを埋め込んでご使用いただけく場合は「DynaSmart V ゲーム拡張オプション」の契約も必要となります。
DynaSmart Vの詳細はこちら
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ダイナフォントは製品別に使用許諾範囲が異なります。ダイナフォントの使用目的に応じた製品別の使用許諾範囲に関しましては、ダイナフォント使用許諾範囲ページをご参照ください。
ダイナフォント使用許諾範囲ページはこちら
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