メイキングストーリー
2018年04月06日

読書尚友、温故知新 / 欧陽詢体

読書尚友、温故知新 / 欧陽詢体01


【はじめに】

欧陽詢体は《九成宮醴泉銘(きゅうせいきゅうれいせんめい) 》という碑銘に書かれていた清和秀潤な風格を持つ厳しい造型の書体から生まれました。方形でありながらやや縦長の字形からは古典的な書道の独特な雰囲気を感じとることができるでしょう。
 

【デザインの発想】

読書尚友、温故知新

読書は旅と似ています。書を読む時、意識は体を離れて書に描かれた場面に向かっています。中でも古典には、時空を越えてその時代を体験させてくれるようなチカラがあります。欧陽詢の《九成宮醴泉銘》に書かれた文字もそういった感覚を呼び起こすことがチカラがあり、見る者を内に秘められた優美な世界へと誘います。こういった感覚を伝える手段として「過去と現在のつながり」をコンセプトに、現在と過去が共存しているようなイメージの小道具や登場人物を配置して制作を行いました。


【撮影】

濃い色の木材を使用して作られた書斎に竹林をイメージさせるような深緑の背景色を合わせることで、素朴さの中に文人の生活へのこだわりが伝えられるように工夫しました。また男性の髪型は古人をイメージさせつつも現代でも多くの藝術家が好むようなスタイルであるシニヨンでまとめ、温故知新の心を持った読書家のイメージを作り上げました。そんな読書家が書物の内容に夢中になり、思わず立ち上がって椅子にもたれかかるように読書に没頭している姿が浮かび上がります。机の上には大きさがバラバラの石を積み上げ、天井から濃い色の竹を思わせるような縦長のライトを吊るすことで動きのない静止画ながらも調和のとれた美しさを演出しました。

読書尚友、温故知新 / 欧陽詢体02


【制作秘話】

撮影スタッフは年代ものの書物を何冊も準備し、撮影の際には俳優に対して意識を本の中の文字に向けるように指示しました。小道具には中国・明朝スタイルの木製家具をセレクトして、その温かみが感じられるような厚みのある素材と角を丸く仕上げているという特徴を以てやや狭いふところと謹厳な筆画が特徴的な欧陽詢体を表現しました。
撮影現場では特殊なライティング技術を用いてレンズ越しに見る色合いと雰囲気を作り出すことに苦労しましたが、調整を繰り返し、画面に映る小道具の色が暗く、深緑の色合いも黄色のライトを使用して、ようやく調和の取れた色合いを作り出すことに成功しました。柔らかく細かい光は深い色をそのままに、小道具や人物の表情にほんの少しだけ明るさを加えることでより引き締まった色合いとなりました。

欧陽詢体「欧」
欧陽詢体
カテゴリー:毛筆系書体
書体の太さ:W5
「欧陽詢体」は、欧陽詢の格調高い結構を生かし、正統の楷書を目指したものです。ひらがな・カタカナは漢字に合わせてフトコロを狭くし、その姿形は手書きの香りのするややクラシックな方向を目指した書体です
欧陽詢体 書体見本
※欧陽詢体は、ダイナフォント年間ライセンス「DynaSmart」シリーズに収録されています。DynaSmartシリーズの詳細はこちら

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