目は感情を表し、眉は人の印象を決める。
目の上部にある眉は、人と人とのコミュニケーションにおけるメディアのような役割を担っており、個々が持ち合わせる個性を伝えています。
双方に伸びやかに広がる眉からは、人の心に秘められた複雑な世界を垣間見ることさえできます。
眉でこんなにも多くの感情を表現することができるのであれば、文字と組み合わせることで、更にどのような変化を遂げていくのでしょうか。
今回のダイナフォントストーリーでは、「眉」から新たな文字の世界に入り込んでいきましょう！
▲よく見かける化粧品
書体も商品の一つであり、デザイナーが新書体をリリースする際には企業が商品を新発売する時のように、必ず市場の現状と消費者の動向を考慮しなければなりません。ここ数年化粧品業界における広告件数は、各業界と比較しても金融危機などの要因に左右されにくく安定していることに加えて、商品パッケージや店頭において数多くの書体が使用されていることから、新書体のターゲットを化粧品業界に定めることとなりました。 
▲デザインテーマ「眉の形」
目標となるターゲットを決め、どのようなストロークで構成すると化粧品に合うのかを分析したところ、多くの化粧品で使われているフォントは、上品で女性らしく、柔らかいイメージに加えてレトロな雰囲気を持ち合わせていることが分かりました。そのため、字体の特性に上記のような特性を加え、最終的に「眉の形」をデザインの骨組みとし、パッケージやタイトル向けのフォントを生み出しました。
娥眉明朝体は明朝体をベースに、うろこが文字をよりスムーズで読みやすくするようにデザインされた書体です。上品なはねと少しはね上がったような横画のデザインが眉のように感情表現を豊かにする要素を添え、文章の抑揚をより際立たせることができます。やや強調されたスタイルと雰囲気のレトロ感漂う骨格が、 言葉の意味をしっかりと伝えたい場合に適しています。
▼娥眉明朝体 書体見本
おすすめの活用方法
化粧品、印刷、グラフィックデザインだけではなく、雑誌の表題やパッケージデザイン、映画のポスター、広告及びレトロな商品などにも適しています。
※女性の眉の形は世相を反映している!?
日本のある著名なメイクアップアーティストによれば、景気が良くなれば太眉が流行する傾向にあると言います。例えば1950年代の高度経済成長期と1980年代のバブル期が挙げられます。それに反して1970年代のオイルショックと1990年代後期のバブル経済崩壊後では細眉が流行しました。ここ数年の傾向を見てみると、2012年に平行眉が流行し始め、太眉ブームの最盛期ともいえます。そして2015年になると平行眉ではなく、ナチュラルで自然な太眉へと変化し、見た目にも若々しい印象となっていきます。このように日本経済における情勢の変化と眉の流行を重ねてみることで、眉の形が世相を反映していることが浮き彫りになります。
「娥眉明朝体」フォントデザイナーへの質問／デザイナーの制作秘話
Q. デザインで最も難しかった部分は何ですか？
デザイナー：大きく分けて2つあります。1つは一部のストロークを拡大・縮小する時に、形が崩れやすいということでした。また縦組み、横組みなどを混在させたレイアウトの際に、字間のバランスが難しいという問題もありました。
Q. 娥眉明朝体で一番満足している部分は何ですか？
デザイナー：縦、横、点、左払い、右払いなどのストロークにおいて、画数が多かったり、文字を拡大・縮小した時でも書体の特長を損なうことなく、表示することができます。
Q. 娥眉明朝体はおおらかで、優美な麗しさを感じさせる書体だと思いますが、あなたが思う理想的な女性像でもあるのでしょうか？
デザイナー：綺麗に着飾るだけではなく、謙虚さと礼儀正しさを持ち合わせており、笑顔で迎え入れてくれるような女性が理想的です！
※娥眉明朝体は、ダイナフォント年間ライセンス「DynaSmart」シリーズに収録されています。DynaSmartシリーズの詳細はこちら More Information