ダイナフォントストーリー
2015年09月03日

DynaFontで広がるタイトルデザイン表現

竹内亮輔[crazy force]に聞く

「ダイナフォントはタイトルロゴ制作にはもちろん、作り起こし文字の指標としても重宝しています」

竹内亮輔は「月刊コミック@ バンチ」「月刊コミックゼノン」など青年漫画を中心に、多数の漫画デザインを手掛けるブックデザイナー。幅広い読者層をもつ青年漫画において、その大胆なタイポグラフィで作品を引き立てる。ここでは、タイトルロゴ制作にかかせないという、特徴的な書体が充実するダイナコムウェアの「ダイナフォント」を中心に、漫画カバーデザインとロゴの関係について伺った。

●青年漫画を中心に、竹内さんの手掛ける漫画のタイトルロゴはインパクトが強く、かつかっちりと文字組みがされている印象があります。
竹内 やっぱりロゴデザインだったら、ガツンとタイトルを見せるっていうのはベタだし王道だと思うんですね。分かりやすいのが一番だと思います。お客を選ぶようなデザインはちょっと違うというか。結局漫画は、1点ものの美術品とかではなくて、商品なんですよ。売れなきゃ意味がない。「好きな人は好きなんだよね」では話が通らないんです。ただ、恥ずかしいって思われるようなものには絶対しない。そのせめぎ合いですね。

●実際に漫画のタイトルロゴはどのように制作しているのでしょうか。
竹内 ケースバイケースですが、まずは作品の内容を把握した時点で、今回は明朝系なのかゴシック系なのか、などざっくりとした方向性を決めて。その中から、Illustrator上に20パターンぐらいの書体でタイトルを並べます。
そこからひらがなはこの書体で、漢字はこの書体で、とタイトル表記に合うように組んでいき、整合性が合わない部分を修正。そして、ようやくの作品に合う味付けはなんだろうって、今度はフォントのクセを取ったり、装飾を加えたりしていくという感じですね。

●ダイナフォントをそのまま使うことはないのでしょうか。
竹内 ほとんどないですね。ダイナフォントって他のメーカーに比べると味付けが濃いというか、そのままロゴとして使えるぐらい完成されていて、エッジが立っている。だからどんな人でもロゴを作れる。それがダイナフォントの良さで。ただ、そこが難しいところでもあるんですが、そこにプロとアマチュアの違いを出すというか。プロならこうするんだよという意味合いもあって、加工ありきで使いますね。こだわりというよりは、それが作法なんじゃなかろうかという感じです。

●ダイナフォントの使用頻度は?
竹内 歴史もあるし個人的にも昔から使い慣れているので、必然的に必要なフォントなんです。実際のロゴのベースとして使用する以外にも、間接的に、比較として利用していることも多いんです。例えば、明治がテーマの漫画を手掛ける場合は、とりあえず作業ボードにクラシカルな「麗雅宋(れいがそう)」で文字を打って、方向性を確かめたり。テクノ感を出したかったら「綜藝体(そうげいたい)」を出して参考にしてみるとか。それとロゴを作っているときは、ずっと文字を見続けているので、ゲシュタルト崩壊してきて(同じ文字を見続けるとその文字が認識できなくなってしまう現象)、可読性などを判断できなくなるんです。そうしたときに、系統の近い書体で比較して、文字が読めるかの基準にしたりしますね。文字にエッジがきいている分、作り起こし文字との比較対象として多様できるんです。直接的ではなくても、そういう使い方も。付き合いの長い友達のような感じですね。

●『おとりよせ王子 飯田好実』では「麗雅宋」をベースにしてロゴデザインされていますね。
竹内 これは、主人公が草食系っぽいイメージの男の子で、「王子」という単語も付いているし、ラブリーなイメージがありました。そこで「DF 麗雅宋」をベースにして、装飾は「DF 麗雅宋」よりもウェイトが細くかわいいイメージの「DF 優雅宋(ゆうがそう)」を参照しながら加工しました。それと、料理漫画ではなく、“おとりよせ”という製品を加工する漫画なので、ちょっとジャンクで、クセのある書体が良いなと思って。

●もともと装飾が施されている書体を加工するのはなぜでしょうか。
竹内 「麗雅宋」のようなクセのある書体の方が、わりとウェイトがはっきりしていたりするので、比較的加工しやすいんです。ブロック遊びみたいな感覚で、入れ替えたり、角を削ったり、逆にエッジ立たせてみたり。こういう書体はおもちゃで遊んでるような感覚で作ることができますね。

●ダイナフォントでお気に入りのフォントは?
竹内 「麗雅宋」と「綜藝体」はもう本当によく、ロゴを作るときに顔を出しては比較しています。要は可読性っていうところで、おそらくフォントとしてのギリギリのラインを保ちながら、作られていると思うので。そこがやっぱり自分の作った文字が読めるかどうか、その比較対象としても重宝しています。作りおこすときも、ダイナフォントの書体の芯をパスでなぞって、骨格を参考にしたり。可読性というところのせめぎ合いは、やっぱりどのデザイナーもあると思うんですけど、そのあたりを攻めてる感じは参考にさせてもらってます。

竹内亮輔(たけうち・りょうすけ)/[crazy force]
Profile●1978年生まれ。2005年株式会社コアミックスを退社。フリーランスになる。2012年crazy forceを発足。年齢、性別を問わずさまざまなジャンルの漫画作品の装丁に携わる。
おとりよせ王子タイトルデザイン
「月刊コミックゼノン」にて連載中の『おとりよせ王子 飯田好実/高瀬志帆』のタイトルロゴ。「DF麗雅宋 Std W9」(ダイナコムウェア)をベースに直線や曲線を均一に加工。おとりよせという製品加工をテーマにした漫画なので、少しジャンクな雰囲気も意識したロゴデザインに

エリア51ロゴ
『エリア51/久 正人』(「月刊コミック@バンチ」連載中)のロゴなどの制作時の様子。作りおこし文字はダイナフォントと比較して可読性を確かめる(赤の文字がダイナフォント「綜藝体」)。下はコミックス巻末コーナー。コーナー見出し「紅葫蘆」は作り起こし文字だが、「綜藝体」と比較して制作された
おとりよせ王子


おとりよせ王子
「飯田好実/高瀬志帆」
D:竹内亮輔[crazy force]
2011~徳間書店
エリア51


エリア51
「久 正人」
D:竹内亮輔[crazy force]
2011~新潮社
月刊「MdN」2014年12月号より転載

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