PICK UP 書体
2017年09月14日

DynaFont PICK UP書体-古籍木蘭

2014年度グッドデザイン賞受賞書体

古籍木蘭
白そのものを洒落たイメージに仕上げるのは簡単だ。
難しいのは、白本来の気品を保ちながらもほんの少しだけ彩を加えることだ。
濃くなれば、それは季節外れに咲いた花のようで、
薄くなれば、淡白な日常のように味気なくなってしまう。
理想のイメージを模索しながら、
美しく伸びやかに広がる姿を生み出していった。
古籍木蘭は中華民国初期の中華書局から発行された「聚珍倣宋」版の活字をベースに開発された書体で、字形は元気で活力にあふれており、端正で優美な風格が表現されています。起筆と収筆からあふれるうっとりするような気品に多くの人が魅了されたのではないでしょうか?人の心を酔わせるような古籍木蘭に秘められた物語を、ダイナフォントストーリーで紹介します。
 
古籍書体シリーズには数えきれない程多くの物語が詰まっている
古籍書体シリーズには数えきれない程多くの物語が詰まっている
蚤の市で角の欠けた琺瑯の焼き物に惹きつけられ、衝動的に購入したことはありませんか? その理由は長い時間を経過することで焼き物に数えきれない程の物語が蓄積されていったことにより、人を惹きつける程の存在感が生まれたことにあります。
古籍書体シリーズはこうした「レガシー」を現代的にリテイクするという考え方を書体に置き換え、古籍文字をデジタルに取り込んで誕生した新しいタイプの書体シリーズです。古代の職人たちはパソコンが無かった状況下で、どのように驚くほど鮮やかな活字を彫り上げていったのでしょうか、掘り下げていきます。
ダイナコムウェアのデザイナーは各地を隅々まで調査していき、最終的に台北の故宮博物院と街中で出版されていた復刻版の書籍の中から5つの字形が美しいものを選び抜きました。古典で雅な古籍であった「元豊類稿」「唐百家詩選」「天工開物」「四庫全書」「范伯子集」の5冊の古書は5年の歳月をかけて開発され「古籍書体シリーズ」と名付けられました。その書体シリーズは、2014年には歴史的な価値があるとして日本のGood Design Awardを獲得しています。

 
中華民国初期の「聚珍倣宋」で宋朝体の雅やかさを追い求める
▲「元豊類稿」の「聚珍倣宋」版の内容見本
中華民国初期の「聚珍倣宋」で宋朝体の雅やかさを追い求める
古籍木蘭は、「聚珍倣宋」版の活字から生まれた書体で倣宋版の「宋朝体」と呼ばれています。宋朝体の人を惹きつけるような心地よさとシンプルで洗練された文字の雰囲気をできる限り再現しました。
書体の母型となる文字は、「聚珍倣宋印書局」を設立した清代末期の丁兄弟(丁輔之、丁善之)によって開発されました。彼らは街中の活字印刷が同じようなスタイルで趣を感じられなかったことから、自ら大量の宋代に刊行された書籍をベースとして使われていた文字を模写しながら活字の版を製作していきました。
その後「聚珍倣宋印書局」は、中華書局に吸収合併されてしまいますが、「聚珍倣宋」の影響力は、中華書局がこの書体の字母を使用して歴代の古籍を大量に印刷したために多くの人々に知れ渡ることとなりました。

 
丁氏兄弟・自分の字体は自分で作る!
丁兄弟が制作した聚珍倣宋版は「宋朝体」の初代と言えます。何故、丁兄弟が文字制作の能力を持ち合わせていたのか気になりますよね? 彼らは元々先祖代々が読書人であった家庭の出身であり、蔵書が8千にもおよんだと言われています。そのため宋代の書籍を手に入れていたとしても不思議ではありません。
丁善之は当初、父親の原稿を出版することを計画していましたが、街中の印刷所で使われていた文字では納得せず、兄である丁輔之と協議を重ねた結果、自分たちで文字を製作しようということになりました。丁輔之は文字を書く能力に長けていただけではなく、印刻にも長けており、甲骨文字にも傾倒していたことから、もし兄弟が現代に生まれていたら、文字の美しさに魅了されて止まない活字マニアになっていたことでしょう。 彼らのこういった美感が「聚珍倣宋」として宋代の文字に秘められた風格を忠実に再現するに至りました。
※幅広く受け入れられた宋朝体
何故、宋朝体はこんなにも高い評価を受けているのでしょうか。1,000年前の宋代に刊行されていた書籍は、彫刻師たちは唐代の特徴的な楷書である欧陽詢、柳公権、顔真卿などのスタイルを追い続けており、字体に美感を感じることができますが、一方、宋朝体が使用された宋の書籍は校勘が謹厳で世に出回っていた数が希少だったことから、どのページも黄金よりも価値が高く、書店ではトレースという方法で複製し出版することで高値で販売し、利益を得ていました。こういった経緯から、宋朝体やその文字が使用されていた書籍は読書好きな人の目には何より貴重なものとして映ったことでしょう。

古籍木蘭の特長
古籍木蘭は「元豊類稿」の「聚珍倣宋」版の活字を印刷した復刻版の古籍をデジタル化した書体です。文字構造が端正で、広々とした木蘭の木のような幅を持ち、楷書の筆形が花びらのように美しく伸びています。力強い起筆と緩やかな収筆が特徴で、洗練された華やかさと同時に元気で活力のある姿も表現されています。


古籍木蘭の特長
▼古籍木蘭 書体見本
古籍木蘭の特長
おすすめの活用方法
古籍木蘭は縦組みの書籍や雑誌などに適しており、本文に復刻版のレトロな雰囲気を出したい場合にもおすすめです。 古典的な風格は、伝統的な工芸製品や食品パッケージなどにも適しています。
※古籍木蘭は、ダイナフォント年間ライセンス「DynaSmart」シリーズに収録されています。DynaSmartシリーズの詳細はこちら

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