PICK UP 書体
2017年08月09日

DynaFont PICK UP書体 -ロマン鳳

ロマン鳳イメージ画像

行きましょう、ダンスホールへ!
自由恋愛のロマンチックな風潮が高まり、
街中では洋傘を広げ、洋装に身を包んだモダンガールが行き交う。
ドット、小花、レースなど・・・彼女たちの色鮮やかな個性は
この時代の雰囲気を象徴するように、自信に満ちあふれている。
今回のダイナフォントストーリーでは、皆さまにレトロ感あふれるロマン風書体シリーズの「ロマン鳳」をご紹介します。華麗な装飾が、ノスタルジックな時代の雰囲気を彷彿とさせます。 さあ、フォントの歩みとともに、昔の文芸青年の過去に迫ってみましょう。
当時はハイカラでロマンチックな時代
大正(1912~1926)から昭和(1926~1989)初期は、今もなお人々を魅了する昭和モダンの時代です。デパートや映画館、ダンスホール、洋食レストランなどが次々と街に出現し、モガ(モダン・ガール)、モボ(モダン・ボーイ)と呼ばれた人々が洋服を着用し、洋食を食べました。昔ながらの細かく煩雑なしきたりは、時代遅れで決まりきったものだという考えで、恋愛においても仲人を立てない恋愛こそが最先端だという考え方もこの時代に生まれました。
日本では明治以降、西洋文化が大量に流入したことにより、1920~30年代に社会全体が徹底的に見直され、東京の街中では昔ながらの町屋に代わって、現代的な都市建築、市民の共有スペース、交通網の整備などが行われました。週末に街を散策したり、映画を見たり、珈琲を飲んだりすることが大衆にとって最も最先端の娯楽活動となり、流行ソングを聞いたり、雑誌を読んだりすることが日常生活における息抜きの1つとなりました。モダンを追求することは、都市部では最先端の風潮であり、日本の現代社会がこうして形成されていきました。
ロマンチックな時代イメージ画像
目を引く装飾的な書体
色とりどりの大衆娯楽は、新興事業の発展を推し進めてきました。当時の出版社は、一般文学などの作品を主に扱っていた「円本」以外に様々な各種大衆雑誌が創刊させました。 私たちが当時の書店に行くことができたら、今日の書店に引けを取らないほどの雑誌の種類の多さに驚くことでしょう。雑誌コーナーでは目で追えないほどの多種多様な雑誌が置かれ、子供向けの児童雑誌、男性向けの芸子の写真、少女・婦人向けのファッション雑誌などもあります。 出版業界は熾烈な競争の中で、如何に読者の目を引きつけるかという点が1つの焦点になりました。その解決策の1つが目を引くこだわりのデザインを採用することでした。こうして装飾性の高い手書き文字のタイトルが大量に使われるようになったのです。
大正時代の出版社の編集長イメージ画像
ロマン風書体シリーズ・古典ロマン
ロマン風書体シリーズは、大正、昭和時代の出版物から着想を得ています。フォントデザイナーは黄ばんでシミが見られる雑誌の中から、当時の手書き文字の余韻が感じ取れたことをきっかけとして、復刻版の文字を開発することになりました。 当時の大衆生活の中で広まっていた美的センスを復刻し、文字を通じて私たちも「大正ロマン・昭和モダン」の情緒を感じとることができるでしょう。
大正、昭和時代の古書、雑誌
▲大正、昭和時代の古書、雑誌は、特徴的な手書き文字が使われている。
一点一画ずつ、「遊び心」から生まれたロマン鳳
ロマン風書体シリーズには、ロマン鳳、ロマン輝、ロマン雪の3書体があります。ロマン鳳は昭和2(1927)年に発行された『演芸と映画』をアイデアに、デザイナー自身がそのスタイルを解釈、開発しました。タイトルに使用されている何文字かを応用させて、おびただしい数のフォントを作成することはデザイナーにとっても簡単な作業ではありませんでしたが、部首や筆画をまるで積み木のように次から次へと組み合わせていくことでフォントデザインを完成することができました。また葉っぱの形のような筆画の部分は、特にフォント化が困難でしたが、筆画毎の絶妙なバランスを探りながら一文字ずつ丁寧に作成していきました。
ロマン鳳デザインコンセプト
▲デザイナーはロマン鳳の筆画を組み合わせる過程を積み木のようだと語っている。
ロマン鳳の特長
ロマン鳳はロマン風書体シリーズの中では、ややシンプルなデザインの書体です。横長で扁平な字形に細い横画と太い縦画を配置しており、上品で落ち着きのある雰囲気を感じさせます。
シンプルなデザインながらも、デザイナーは葉の形状と半円弧を組み合わせたようなデザインを筆画のポイントとし、部分的に幾何学模様のような曲線の比較を使用することで、動きに変化をつけました。同じ筆画は、続け文字のように重なり合ったデザインとなっており、部首が「くにがまえ」の場合は、何種類かの筆画のパターンを組み合わせて表現しました。
ロマン鳳は、重厚な中にも細部に円弧の強くリズミカルさが光るデザインといえます。


ロマン鳳の特長イメージ

▼ロマン鳳 書体見本
ロマン鳳書体見本イメージ
おすすめの活用方法
ロマン風書体シリーズではどの書体にも特徴的な装飾性の高い筆画で構成されており、新聞雑誌、広告宣伝などのタイトル、サブタイトルにも適しています。また、CD、ポスターなどのジャケットにも適しています。

 
ロマン風書体シリーズであるロマン鳳、ロマン輝及びロマン雪の3書体は、それぞれにA、B、立体があります。A、Bの一番大きな違いはかなのデザインで、どちらも特徴的なデザインとなっています。立体はAのデザインを立体的にしたもので、文字の性質や用途に合わせて、異なるバージョンを組み合わせて使用することが可能です。
ロマン風書体シリーズ 書体見本

「ロマン鳳」フォントデザイナーへの質問/デザイナーの制作秘話
Q. ロマン風書体シリーズは、タイトル向けにデザインされたフォントですが、本文向けの文字をデザインする時のポイントとしてはどのような違いがありますか?
デザイナー:本文に使用する文字でポイントとなるのは、「可読性」です。読み手がストレスを感じることなく、文字が本来伝えるべき情報を読み取ることが出来ます。よく見かける明朝体を例に挙げると、明朝体の右端には三角形のようなデザインがありますが、これはそれぞれの文字をつなげ、右に向かって自然に読み進めることが出来るような効果があります。ロマン風書体シリーズなどのタイトル向けに開発された書体は、デザイン性が強いため、可読性への配慮よりも、特徴的な筆画を用いたデザインなどに力を注ぎました。


本文に記載しているロマン鳳は、ダイナフォント年間ライセンス「DynaSmart」シリーズに収録されています。DynaSmartシリーズの詳細はこちら

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