ダイナフォントストーリー
2015年09月02日

Designer meets DynaFont

フロッグキングスタジオへの指令 ダイナフォントで遊べ!

ダイナコムウェアは2012年に3種計7書体の書体をリリースした。
5人のエディトリアルデザイナーが見た、デザイン性が高く個性的な新フォントの印象は?

コンセプトがハッキリした「娥眉明朝体」の印象は?
福島:金文体からの流れなのかな、どれも新書体には洗練された強い個性があるね。ダイナコム自体はバンドルフォントでシェアが高いイメージが強かったけど、金文体や隷書体のブームでイメージが大きく変わった。
石黒:その意味では、今回の娥眉明朝体や琺瑯看板体も書体のインパクトが強いからロゴマークやポイント使いなんかに向いてると思います。
福島:娥眉明朝体は中華風な印象もあるね。石黒さんは料理本のデザインも多いから、ちょっと洗練されたシノワ風のレシピ本に良いんじゃない?
石黒:ちょっと画数の多い漢字にはピッタリ。サンプルの方向は女性がターゲットみたいだから、それに乗るか違う方向にするか……。結構悩みますね(笑)。
森田:少し横幅が狭いことも特徴的かな。細長い瓶に縦書きで商品名が印刷されているような使い方がすぐ想像できる。こういう書体ってフリーフォントでは似たようなものがあったけど、文字数に制限がありましたよね。プロが使える文字セットだと使い勝手も広がります。

エディトリアルデザインにUDフォントをどう使う?
福島:UDゴシック体/UD丸ゴシック体のように、UDフォントは無味無臭なシンプルさが特徴だよね。それ故に文章から〝声色?が消えるような気がしていたんだけど、これからは読者の高齢化に合わせてUDフォントの出番も増えそう。
永井:エディトリアルに限らずスマートフォン関連アプリとの連携にも良いんじゃないですか? 情報量が多くて分かりやすさが求められる媒体に使ってみたい。
福島:良く見ると写研のゴナとかナールの方向にも似てる。余分なうろこなんかをそぎ落とした無味無臭なデザインが、逆にUDフォントとして蘇ってきているのが面白いね。
ジョ:太いのに読みやすい書体、っていうこともポイント高いですよ。画数が多い書体では、太い書体を使うと潰れて可読性が失われてバランスが崩れてしまうものがありますから。

書体を〝サウンド〟で選ぶ!?
福島:琺瑯看板体も然りですが、デザインに行き詰まったときにあえて新書体を使ってみるのもおもしろいよね。「その新しいサウンド、波に乗ってみる」みたいな。
ジョ:個性が強ければ強いほど、誰よりも先に使ってみたくなっちゃう(笑)
福島:文章の語り口からサウンド(書体)が聞こえることがあって。そうなると時代に合った(個性の強い)書体は早い者勝ち。オーソドックスな書体に頼る部分と時代に選ばれた書体を先取りする部分-書体選びって、この相反する二つのポイントがあるんじゃないかな。琺瑯看板体もベースは懐かしい手触りがあるけどひらがな部分はかなり〝わんぱく〟な印象。これをどう活かすか、デザイナーが試されているような気がしますね。

取材・文●西村希美


有限会社フロッグキングスタジオ
有限会社フロッグキングスタジオ
1998年設立。主に雑誌や書籍のエディトリアルデザインを手がける。スタッフ一同、幅広い様式や主題に応えるデザイン、読者から共感される誌面作りがモットー。
写真の人物は左から福島源之助氏、森田直氏、ジョ・ヨンシン氏、永井健太郎氏、石黒美和氏。
DynaFont2012年リリース書体紹介
琺瑯看板体
琺瑯看板体その1
ノスタルジックな書体だけに「寫眞」という文字も使え、大きく使用すると可愛らしさも出てくるおもしろい書体。昭和を感じる書体の新しい使い方を模索していましたが、書体の持つ雰囲気を活かしデザインしてみました。下町にすぅっと溶け込む感覚が不思議です(永井)
琺瑯看板体
琺瑯看板体その2
字面に遊びを残しつつも押さえるところはきちんと押さえているのでタイトル使いでもしっかりと立ってくれました。遊び心を残しつつ余裕のある大人なイメージとも合致し、趣味系の書籍には活躍してくれそうな予感(森田)
琺瑯看板体
琺瑯看板体その3
漢字のコロッとした縦のラインがおっとりやさしい形なので、もしかして「ゆるカワイイ旅ものに使えるのでは?!」と思い文字をフォトショップで加工して作成。意外と“アジア”な雰囲気も出せたと思います(石黒)
罪と罰
UDゴシック体UD丸ゴシック体
最初は「ユニバーサルデザインフォント」と聞いて身構えましたが、実際に文字を組むと意外としっくりと組めました。W2はロダンLよりも幾分か細く繊細そうですがユーモアも感じる書体。若い頃に読みそびれた「世界名作文庫」のようなものを仮想してこしらえたら程よく軽い感じで、老眼の進んだ今の自分でも読破できそうな気分になってきました(福島)
娥眉明朝体
娥眉明朝体
眉毛の形のようなストロークで、女性のやわらかさや優しさを表現した新書体。「大 きさや字間を調整することで、使い方に幅が出そう」(ジョ)
「+DESIGNING」2012年5月号より転載

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