ダイナフォントストーリー
2015年09月01日

さまざまなキャラクターを彩る多彩なフォント その2

「ポップに見せたいときに使用する個性的なフォント」

株式会社 MHz メチクロ

『+チック姉さん』は、模型部なのに模型をほとんど作らない、ちょっと変わった女の子3人が繰り広げるギャグマンガ。

模型のプラスチックをイメージさせるタイトルロゴは、「DFP綜藝体」を基に、ウェイトや長さ、Rなどを微調整をしながら制作したものだ。制作したメチクロ氏によると、「線幅のバランスが良い書体なので、図形的なアプローチがしやすい」というDFP綜藝体。「スクエア型でまとまりの良いフォントなので、漢字表記をポップに見せたいときなどによく使用」しており、本作でもタイトルロゴや著者名に使用された。

非常に特徴的なロゴだが、個性が強い分、レイアウトでは背景まで描かれた表紙イラストの完成形を崩さないようバランスに気を配ったとのこと。なお、ロゴのカラーリングは各巻のキーカラーに合わせて決定している。

ロゴ以外にも、扉や目次など、全面的に「模型」をイメージさせるデザインの本作。コミック作品でモチーフがはっきりとしたデザインを取り入れることは稀だというが、作品内容に『女子』『ギャグ』の要素がたくさん含まれているので、あえて『模型』を押し出すことでバランスが良くなり、積極的に取り入れることが可能だったそうだ。

また、タイトルロゴは基本的に創作することが多いため、普段はロゴ以外のデザインにフォントを活用するというメチクロ氏。ダイナコムウェアの書体では、ほかに「隷書体」や「魏碑体」なども重宝しているという。例えば「隷書体」は『ドロヘドロ・16巻特装版』(林田球、小学館)特装小冊子”悪魔の教典”内、モノローグ台詞に。「魏碑体」は、『バイオメガ』(弐瓶勉、集英社)の著者名で使用している。

「いずれも個性が強いフォントなので長文組みでは使用しないのですが、記事ページでの見出しや囲みに使用することも多いです」とのこと。手掛ける作品の内容自体も独創的なものが多いメチクロ氏だが、こうしたデザインは基本的にプレゼン案やラフなどは作らず、毎回完成した一案のみ提出するというから驚きだ。本作も現在の一案だけ出し、一発OKだったという。

作品とフォントの個性が、メチクロ氏の考えるデザインでピッタリと合わさっていることを感じさせる制作過程である。



プラスチック姉さん


『+ チック姉さん 3』
『+ チック姉さん 3』
栗井茶(スクウェア・エニックス)
「+DESIGNING」2012年5月号より転載

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