優雅な輪郭が
私の視線を奪って、
瞬間、恋に落ちていく・・・
出会いとは、音もなくやって来る
それは感情の芽生えであり、ロマンチックに思いを馳せること
そうした瞬間に、私たちの心を奪い去っていく、
人々はそれを「一目惚れ」という。
デザイナーは一体どのような場面に「一目惚れ」をしたのでしょうか? 今回のダイナフォントストーリーでは「金文体」をご紹介します。それは温かく耽美、そして上品で俗離れした風貌、その全てから誘惑するような香りを放ち、素朴で優美、且つ情緒に溢れ、それは一歩ずつ未知の世界を探っていくような感覚。
さあ、一緒に「金文体」について紐解いていきましょう。
開発の由来
時は1990年代までさかのぼり、ちょうど弊社のデザイナーが出張の際に、中国春秋戦国時代の文字に関する変遷の書籍を見かけたことから始まります。甲骨文に関する内容から紹介されており、その中の一節に「中山王方壺」という鋳込み刻まれた金文に関する紹介があり、その優雅な輪郭がデザイナーの目を奪ったことから、その後その本を友人に依頼して購入し、金文体の開発に着手することとなりました。
▲中国春秋戦国時代の字体
金文体の特長
“金文体”は古代の金文からインスピレーションを得たオリジナルフォントです。中国の戦国時代に各諸侯がその土地の特色を用いた文字を開発し始め、そのうち、よく使用されていたのが中山国の金文で、字体が縦に長く、動きのあるスタイルで、商、周の時代の四角い文字とは全く異なります。金文体のデザインのインスピレーションは、戦国時代の≪中山王方壺≫に登場する金文が元になっています。
▼金文体 書体見本
※金文シリーズのフォント
1998年に金文体がリリースされてから、市場の反応が良く、元々販売していたW3とW5をベースに、より細く調整したW2のバージョンを発売しました。その他、よりフォントを広めていくために、その後続々と日本語の仮名を加えてリデザインした金文体シリーズの製品が登場しました。 |
フォントの活用
気品とスマートさで際立つ個性を感じる「金文体」は、女性向けの商品やパッケージ、名刺からオリエンタルな雰囲気の刊行物にも適しています。
※:金文体の普及
当初のデザインの方向性は、女性が使う雑貨や小物に応用したいということでした。金文体がリリースされたちょうど3年前、デザイナーは市場に足を運んで反応を見ながら、何か良さそうな商品があればその都度収集していました。時は流れて今日では、金文体は日本人の生活の一部になっています。 |
「金文体」フォントデザイナーへの質問/デザイナーの制作秘話
Q. 何故当時古代金文に合わせてではなく、一から制作することになったのですか?
デザイナー:「金文体は学術的な需要に合わせて開発したわけではないので、完全に古代金文に合わせてしまうと現代人は識別出来ませんし、使いにくいのでオリジナルを開発することになりました。」
Q. デザインの過程で、何か大きな壁にぶち当たったことはありましたか?
デザイナー:「2点あります。1つはベースが無い状態で、どうやってオリジナルのデザインを仕上げていくか、2つ目はデザインの際に“視認性”と“オリジナリティ”を念頭に入れることでした。」
Q. 金文シリーズの商品を誰か古代の美女に宣伝してもらうとしたら、誰がいいと思いますか?
デザイナー:「9頭身の人がいいですね、体系が優雅で繊細な美人な方がぴったりかと思います!」
Q. 将来的にどんなフォントのデザインに挑戦してみたいですか?
デザイナー:「もし機会があれば、小さなディスプレイにも対応した新しいフォントに挑戦してみたいですね!(笑)」
※金文体は、ダイナフォント年間ライセンス「DynaSmart」シリーズに収録されています。
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