【はじめに】
古籍真竹は北宋の詩人「王安石」(1021~1086)が唐朝の数々の詩をまとめた詩集「唐百家詩選」をもとに開発された書体です。「唐百家詩選」は竹刻文字で、字形が細長く、ストロークの先端が細い真竹のように見えるという特徴があります。ストロークの転折が竹の節のようで、力強さとしなやかさが同居し、悠然とした表情が窺えます。
【デザインの発想】
君子には竹のような力強い気骨と貫禄がある。
君子にとって囲碁とは勝ち負けよりも、むしろ素晴らしい対局を楽しむことであるといいます。
勝利は喜ばしいことですが、負ける事からも学ぶことがあるからです。
ですから、そのような一局にこそ、君子のたしなみがあると言えるでしょう。
【撮影】
碁盤も、それ以外の部分も、全てを含めてレイアウトだと言えます。
上から眺めたような視点で対局の様子を表現するためには、碁盤が最も重要となるので、畳の柔らかい色味に合わせて画面の色調を調整し、碁盤が引き立つように工夫を凝らしました。
またストーリー性を持たせるために碁盤に白と黒の碁石を散りばめました。白の碁石を指そうとしている手からは対局の局面を見通しているかのような態度を匂わせ、さらに左隅に現時点の成果としていくつかの黒石を配置することで、白熱する対局のシーンを作り上げました。レイアウトに工夫を凝らすことで、対局がより克明に描写でき、張りつめた緊張感が演出できました。
【制作秘話】
囲碁は静寂の中で行われるゲームのため、いかに動きの少ない画面で「静寂な戦い」のシーンを表現するべきかといった点に加え、実際の対局シーンに近づけるため、またレイアウトに統一性を持たせる事も考慮せねばならず、いくつもの棋譜を参考にしました。その中で白石と黒石がバランス良く巧みに配置されていて、且つ、配置する数が多すぎてバランスが崩れないように工夫を凝らす必要があったため、最終結論として少量の黒石と白石を配置し、シンプルですっきりとしたイメージで仕上げました。
そこに、より一層に自然な仕上がりにするため、撮影チームが用いた小道具を照明スタッフがごく自然な光で盤上に差すように一手間加える事で、静寂の画面に「表情豊か」な手が生まれました。 囲碁の所作は、一定の決まりや知識を持っての動きからなっており、わずかな手の動きで碁の局面を見通しているかのような自信に溢れた様子を表現し、こわばり過ぎないようにする必要がありました。そのため、自然な一局を演出するために手のモデルになったスタッフは何度も碁石を指す練習を行いました。
光、小道具、そして人という全ての要素が揃った時、自然と美しいシーンを撮影することができました。
カテゴリー:古籍書体
書体の太さ:W3
文字の字形は細長く、ストローク先端が細い真竹のように見えることから「古籍真竹」と命名されました。特徴として、文字の重心が低く、ストロークの転折が竹の節のようで、力強さとしなやかさが同居し、悠然とした表情が窺えます。古籍ならではの情緒を活かしたキャッチコピーや本文組にオススメの書体です。
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