【はじめに】
勢いや力強さを表現した新書体です。豪快かつ極太な筆画が特徴で、ストロークからも素朴な筆遣いが感じられ、力強さが溢れる味わいのある書体となっています。
【デザインの発想】
勢いを感じることが出来る新書体は、剣道を連想させます。剣道は心、気、力を一致させることにあり、竹刀同士が交わる瞬間は、守りと攻めを瞬時に判断しなければなりません。
それは、大河体にように素朴で、どっしりとしたイメージが混ざり合い、あらゆる感情表現に対応出来るような技ありの書体のようでもあります。
【撮影】
剣道の最も素晴らしい瞬間は、竹刀を振りかざす瞬間です。静止画でどのようにすれば剣道の動きのある美しさを表現することが出来るのでしょうか。
板張りの床に竹刀を二本置き、竹刀同士が交わる場面を再現することで、剣道で一番の見せ場である動きのあるシーンをイメージしています。また、周りに置かれているタオルと防具は、逆に試合の合間に休憩をしている様子が描かれています。動きのあるシーンと組み合わせることで、一旦休戦しているだけで、すぐに試合が再開するかのような雰囲気を作り出しています。
ただ並べられているように見える小道具も、実は全体的なバランスを考えて緻密に配置されているのです。
【制作秘話】
今回の制作にあたり、剣道具を手配し、レイアウトを考えながら丁寧に配置しています。剣道の力強い雰囲気を忠実に再現するため、あえて使用感のある剣道具を手配しています。竹刀の柄の部分からタオルまで、年月が経過したような使用感があり、ストーリーに一定の説得力を持たせています。
今回の撮影は上から眺めたような視点撮影されたため、胴の正面にある模様が見えないという点が問題になりました。そのため、あえて胴を横に倒して撮影することにし、タオルの位置に関してもバランスを取りながら何度も調整を行いました。試合の動きのあるシーンを再現するだけではなく、シーン全体としての一体感も考慮しなければならなかったため、タオル一つ取っても、慎重に考える必要がありました。
道場内の照明に近づけるために、何度も照明の調整を行い、最終的に自然なコントラストで撮影することが出来ました。
剣道を極めていく心構えから、フォントをデザインする苦労、そして撮影とレイアウトに際して、何度も辛抱強く修正を行ったことは、一見関係性が無いように見えますが、道筋が違っても、苦労をして何かを作り上げていくという点では、共通している点があると言えるでしょう。
こうして何度も修練して作り上げられた「技」により、今回の作品は素晴らしい姿へと変貌を遂げました。
カテゴリー:毛筆系書体
書体の太さ:W12
筆文字ならではの勢いや力強さが表現した女性書道家による毛筆系書体です。筆は鼬(いたち)の毛の筆を使用しており、その特徴である優れた弾力性が、起筆や払いの勢いに見事に反映されると共に、流れるような筆運びにも色濃くあふれています。タイトルや見出しの他、伝統工芸や和テイストの製品や店名などにもオススメです。2017年1月現在、DynaSmartシリーズに先行収録中です。
More Information