ダイナフォントストーリー
2016年09月07日

JASAインタビュー:「組込み用フォント(Embedded DynaFont) ソリューション」

 JASAインタビュー:「組込み用フォント(Embedded DynaFont) ソリューション」
2016年より「一般社団法人 組込みシステム技術協会(Japan Embedded Systems Technology Association 略称「JASA」)」に入会したダイナコムウェア株式会社から組込み機器のユーザーエクスペリエンス(UX)の向上意識が高まる中で専門性と多言語対応を強みに市場拡大を狙う同社第8営業部が、JASA機関誌「Bulletin JASA」掲載用にインタビューを受けました。 今回のダイナフォントストーリーでは、2016年6月1日に行われたそのインタビュー内容について転載させていただきます。
ダイナコムウェア株式会社受付
インタビュー:ダイナコムウェア株式会社 第8営業部
パッケージ製品の商用契約で法人ビジネスに着手
組込み分野のキーワードはいろいろあるが、「ユーザーエクスペリエンス(UX)」はそのひとつ。「ユーザー体験」と訳されるその体験とは、楽しさや心地よさといったプラスの感情を指し、たとえば製品名やパッケージデザインを見るだけで使用後をイメージしたりすることも範疇になる。Webサイトや一般商品など分野を問わず取り入れられ、組込み機器のプロダクトデザインでも急速に注目が高まっている感がある。
UXの向上に大きく関わるのはUIデザインだが、さまざまなデバイスで表示されるフォントはその基本となる要素であり、ユーザーが受ける印象にも大きく影響するものだ。
そうしたUXとしての感情表現の手段に位置づけるなど、多彩な組込み専用のフォント環境を提供しているのがダイナコムウェアだ。字形特有の美しさを極めたブランド『DynaFont(ダイナフォント)』を開発し、開発・設計を行う台湾を母体に日本(販売拠点)北京(研究)上海(製造)香港(欧米の販売)に拠点を構え、パッケージ製品開発販売・外字ソリューション・組込み機器用フォント事業を展開する。
若い女性が書いたようなまる文字やイラスト風なポップ書体など、フォントの種類は実にさまざま。書体の数だけ表情があり、目にふれる人の感情を刺激することを考えると、ありがちなゴシック体や明朝体だけで済ませるのはもったいない話。テレビのバラエティ番組などで目にする、面白おかしく感情を表現する巨大テロップもDynaFont。同社のフォントはいろいろなメディアを通じ、楽しませてくれている。
テレビ放送でのフォント利用には、同社の法人向けビジネスが関連している。というのも、パッケージフォントは一般商用印刷での利用許諾は含まれるが、映像コンテンツや電子出版、Webコンテンツ、ゲーム、ディスプレイ表示用などでの利用はフォントの再販にあたるため禁止されている。そこで同社は、それらの利用許諾契約を締結するビジネスで商用利用を拡大してきた。タイポグラフィの知的財産にも、テレビ局とのワーキンググループに参加するなど積極的に推進してきたという。
専用フォントと描画エンジンで組込み開発を支援
そうした法人向けビジネスが波に乗ってきたところで開始したのが組込みフォント事業だ。『Embedded DynaFont』、組込み用フォント描画エンジン『DigiTypeAPI』の提供で開発環境をサポートする。
「フォントはソフトの中でも素材に近い存在。そのフォント単体を紹介するのではなく、組込み分野のさまざまなベンダをパートナーにミドルウェア、UI、UXなどを切り口として多言語表示やデザイン性をアピールしています」と話すのは、組込み分野専門部署である第八営業部のシニアマネージャー小関隆史氏。専門部署を置いたのは、パッケージ提供とは異なり、フォントデータを製品自体に組み込む特殊性から。組込み技術寄りのテクニカルなアプローチが可能となり、開発者側のニーズにしっかりと応えることで差別化もできる。
ちなみに第八を設置した時点での営業部門は第一のみ。いきなり数字が飛んでいることに小関氏は「“八”は末広がりで縁起が良い数字ということで決めました」と笑う。そうした自由な発想もビジネスにはプラスに向く。「実際いろいろな業界が対象となる組込みでは、FA機器とコンシューマ機器、車載機器などそれぞれで毛色がまったく異なりますから、発想の柔軟さも必要です」(第8営業部 シニアマネージャー小関)。感情豊かな書体は、そうした“ノリ”の良さからも生まれてくるようだ。
多言語対応の強さを証明する中国政府認定のフォントデータ
組込み事業の開始から10年以上経つが、当初は「フォントは購入して使うもの」という意識が芽生えていなかったという。まさにゼロから市場を開拓してきた格好だが、組込みに特化した専門性と多言語対応による強みでカーナビなどの車載系や電子機器などへと拡販してきた。
「多言語対応」といえばあちこちで耳にするが、中国語フォントは同社の“専売特許”。中国政府による国家標準規格(GB)のフォントを販売代行する数少ない会社だ。日本のJIS規格に相当するが、GBには強制力があり中国で流通させる製品には必須となる。担当する同部法人営業の于暁光氏は「中国政府が認めているのは世界で3社しかありません。日本で中国政府機関と直接パイプができているのは当社だけです」と説明する。
それだけ、対応がどこよりもスムーズになる。フォントデータ・描画エンジンともに政府に審査を受けているので、同社のフォントを用いていれば開発製品の審査への不安はない。「当社の大きな強みになっています」(第8営業部 于氏)。中国での製品展開を考えている企業は、ぜひ相談されると良い。
ベンダとの連携強化で新たな分野への拡販を目指す
これまで展示会には積極的に出展し、パートナーとの共同も含め組込みシステム開発のソリューション提案とともに、組込みフォントのアピールに努めている。またフォントのイメージ調査にも活かし、リテール系の展示会ではいろいろなフォントを用いたレシートで印象度をリサーチした。「意外なフォントに人気が集まった」と小関氏も口にするほどで、フォントの奥深さが感じられる。結果は、ラベルプリンタやPOS系のメーカーへの提案に役立てていく。
ETWestも、ここ数年継続して出展している展示会だ。同部セールスマネージャー西田祐介氏は「車載を中心としたデモ展示で、フォントを描画エンジンとフォントの実例、最新チップやOSに導入した事例を紹介します」として、ラズベリーパイやUIツールと連動させて、組込み機器開発にイメージしやすいデモで示す。UIのニーズについては「欧州では文字のデザインも製品の付加価値として認められています。その傾向がそろそろ日本にも見られてくるのでは」(第8営業部セールマネージャー 西田)。UIデザインとしてのローカライズのニーズも感じており、小関氏は「ローカライズ検証のサービス化を考えているところ。複雑なアラビア語やタイ語も強化して、多言語化を拡充します」とする。
昨年発足したUXコンソーシアム(体験設計支援コンソーシアム:CXDS)にも参画し、さまざまな企業と連携しながら存在価値を高めていく。
JASAには3月に入会したばかりだが、「パートナー企業にはJASA会員が多い」(小関)、関係性もより深まるというものだ。「今まで液晶表示のない製品に突然液晶が付く。その情報は我々ではなく、液晶や半導体、ドライバ開発の会社が知るもの。連携を図ってこれまでと違う分野の製品群に拡販していきたい」(小関)と期待する。
Bulletin JASA 2016 Jun. Vol58より転載
多言語フォントセット

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