茶席の味わい / 唐風隷書体

【はじめに】
唐風隷書体は、落ち着きを感じさせる構成で、やや角ばった形の中に素朴さが見られます。自然に醸し出される趣は、まるで心穏やかに良質なお茶を味わうかのようです。精神が集中し、深い余韻が広がり、喉を通るたびに味わい深さを感じます。
【デザインの発想】
─唐風隷書体
【撮影】
茶道は茶の色、香り、味の全てを重んじます。では、その雰囲気をどのように視覚で表現すればよいでしょうか?
制作チームは茶席をテーマに、木のナチュラルな色合いの竹編みのテーブルランナー、竹の葉、白磁杯と黒い急須で画面を丁寧に配置し、落ち着いた優美な雰囲気を作り上げました。1人で飲む静かな雰囲気とは異なり、2つの磁器の杯で飲み交わす様子はより味わいを感じさせます。そして最後に、竹の葉が生命力を感じさせるアクセントとなり、茶の香りをいきいきと描き出しました。

【制作秘話】
アイテムの比率が画面の骨格であるなら、一致したトーンは画面の魂です。
茶席に優雅な雰囲気と味わいをもたせるため、制作チームは様々な工夫を凝らしました。どこにでもある平凡なアイテムであっても、一番良く見えるポジションを探しながら、制作チームは何度も磁器と急須の位置を調整しました。
お茶菓子についても、画面における比率と配色を考慮し、美術スタッフがわざわざデパートに出向き、様々な色合いの和菓子を購入しました。繊細で美味しそうなお茶菓子をスタッフで小分けした時は、思わず食べたくなってしまう程でした。試行錯誤を繰り返し、最終的に選んだのは淡い緑色の和菓子でした。それは、青々とした竹の葉と互いを引き立て合い、トーンも調和して生き生きとし、視覚的にもピントが合っていたからです。
茶席のアイテム探しは難しくありませんでしたが、茶さじを選定する際に、美術スタッフは竹製品を使用せず、ふとしたひらめきで、自ら木の枝を削って茶さじを作り出しました。植物本来の自然な模様がいかされているだけではなく、独特な素朴さと趣を漂わせ、茶席に沢山の小さなサプライズをもたらしました。
また、画面の配置だけでなく、撮影過程も一分一秒を争うものでした。
撮影時、一番合いそうな竹の葉を準備していましたが、撮影時間が長すぎると葉の水分が失われ、しなびてしまいます。竹の葉を新鮮な状態にする為に、光とアイテムをセッティングしてから竹の葉を摘み、さらに水滴を噴きつけて露を創り出しました。一瞬にして、まるで本物の淡いお茶の香りがしているような心地が漂い、心穏やかにお茶を味わうように、茶席全体の空気が生き生きとしました。

カテゴリー:毛筆系書体
書体の太さ:W5/W7/W9
横長で太く扁平な字形がどっしりと落ち着きを感じさせる「隷書体」です。中華風を表現したい場面や古典的なテイストの表現したい場面などに適しています。

「唐風隷書体」について掘り下げた「DynaFont PICK UP書体-唐風隷書体」はこちら
本文に記載している唐風隷書体は年間ライセンス製品 「DynaSmart」シリーズに収録されています。
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