連載コラム
2016年03月01日

ぬらくら 第62回 じゃじゃ麺

じゃじゃ麺


前号に続いて盛岡から。

盛岡名物に「じゃじゃ麺」があります。
ピリ辛で汁ありと汁なしの二パターンある、あの炸醤麺(ジャージャー麺)ではありません。

盛岡市とその近郊、あるいはもっと範囲を広げて岩手県にお住まいの読者の皆さんにとっては『何を今更……』とお思いでしょうが、ぬらくら子にとっては初物でした。

ということで、以下は岩手県にお住まいの読者の民さんには旧聞になります。
ご容赦ください。

じゃじゃ麺はわんこそば、冷麺と並んで「盛岡三大麺」と呼ばれる麺料理の一つです。
改めてじゃじゃ麺の由来を調べてみると、そのルーツは昨日今日ポット出てきたものではなく、年代まではハッキリと分かりませんが、第二次世界大戦以前にまで遡るようです。

戦後の盛岡で、かつて中国の東北地方に移住していた人が、炸醤麺を元に日本の材料を使って考案したのがじゃじゃ麺の始まりのようです。
その後、盛岡の人達の口に合うように改良が重ねられ、現在のじゃじゃ麺になったそうです。

ぬらくら子が入った店は盛岡市本宮にある「香醤」です。

席について直ぐ気づいたのは、どのテーブルにも皿の上に小山と盛られた玉子(ゆで玉子?)が載っていることでした。

メニューを手に取ると「じゃじゃ麺、大・中・小」とあります。そこから「中」を頼んで待つことしばし。

真っ白な皿に載った真っ白な麺は「うどん!」、関東育ちのぬらくら子にはうどんにしか見えませんでした。その白い麺をチップ状に刻まれたたっぷりのきゅうりが覆い、そのきゅうりの真ん中に店特製のじゃじゃ味噌がこんもりと山を成し、皿のヘリには紅ショウガが載っています。

メニューに写真付きで以下のような丁寧な食べ方が載っています、と言ってもわずかにツー・ステップ。

(1) お好みにより、ラー油、酢、ニンニク、一升漬け (*) を加えます。
(2) お皿の脇の生姜も加えじゃじゃ味噌と薬味が麺に絡むようにぐちゃぐちゃに混ぜたら出来上がり!

* 三升漬けともいうようです。醤油・青唐辛子・麹を1:1:1の割合で漬け込んだもの。

「ぐちゃぐちゃに混ぜる」というところに抵抗がありましたが、じゃじゃ麺を美味しくいただくにはこの作業が必須のようです。
メニューの別のページに、食べ方の続きが載っているのに気が付きました。

〈ポイント!!〉 麺ときゅうりは少し残しておきましょう。

とあるのが気になり、ぐちゃぐちゃに、しっかり混ぜたじゃじゃ麺を口に運びながらメニューに目を走らせます。

(3) 食べ終わったお皿に、なま卵を割り入れ、よく混ぜたら、店員までお声をかけてください。
〈ポイント!!〉 麺ときゅうりは少し残しておきましょう。
(4) じゃじゃ味噌を適量入れます。塩、こしょう、酢などを加えれば「あっさり味!」 ラー油、ニンニクなどを加えれば「こってり味」が楽しめます。

じゃじゃ麺の全体像を理解しないまま食べ始めてしまったようです。
とりあえずメニューの言いつけを守って『麺ときゅうりは少し残して』じゃじゃ麺を食べ終えまました。

ここで店の人に声をかけると、麺ときゅうりを残した皿に、テーブルの上の卵を割って……、とメニューに書かれている手順を丁寧に説明してくれます。

あっ、この小皿の玉子はじゃじゃ麺に載せる追加トッピングのゆで玉子じゃなかったンだ。

教えられたとおり麺ときゅうりを残した器に小皿のなま卵を割り落し、よくかき混ぜてから、もう一度店の人に声をかけます。
店の人は何も言わずになま卵を割りいれた器を持って調理場に入っていきます。

待つ間もなく運ばれてきた器にはちょうど良い具合に汁が追加されています。確認しませんでしたが多分、麺の茹で汁です。

なま卵が汁の中でフワフワ揺れているところに、じゃじゃ味噌とこしょう、それに酢を追加しました。
できあがったスープが「鶏蛋湯(チータンタン)」で、これをいただいて初めてじゃじゃ麺の完食となるのでした。

初めてのじゃじゃ麺で、その味がどうであったのかコメントできる程の余裕もなく食べ終わってしまいました。

先ずは、口に運ぶまでの作法が初体験で、いささか緊張しました。 「ぐちゃぐちゃに混ぜ」ろから始まり「麺ときゅうりは少し残して」とメニューに言われ、なま卵を割ってから店の人に声をかけて……と、じゃじゃ麺を楽しむ余裕がありませんでした。

盛岡三大麺の一角を担うじゃじゃ麺が不味かろうはずも無いのですが、その本当の美味しさが分かるようになるには、未だ何度か挑戦する必要がありそうです。

タイトルの「ぬらくら」ですが、「ぬらりくらり」続けていこうと思いつけました。
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  著者 Information

ダイナコムウェア コンサルタント
ダイナコムウェア コンサルタント
mk88氏

PROFILE●1942年東京都生まれ。
1966年桑沢デザイン研究所ビジュアルデザイン科卒。
設備機器メーカー、新聞社、広告会社を経て、
総合印刷会社にてDTP黎明期の多言語処理・印刷ワークフローの構築に参加。
1998年よりダイナコムウェア株式会社に勤務。
Web印刷サービス・デジタルドキュメント管理ツール・電子書籍用フォント開発・
フォントライセンスの営業・中国文字コード規格GB18030の国内普及窓口等を歴任。
現在はコンサルタントとして辣腕を振るう。
Blog:mk88の独り言

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