連載コラム
2015年07月23日

ぬらくら 第56回 人の繋がりと電話機と

LINE、Twitter、mixi、GREE、Mobage、Ameba、BELUGA、Facebook、Google+、 Instagram、LinkedIn ……。
思いつくままに列記してもこれだけあるソーシャル・ネットワーキング・サービス (Social Networking Service/SNS)、中には併合・合併して無くなってしまった サービスもありますが、ぬらくらコーナーの読者ならどれか一つくらいは利用して いらっしゃるのではないでしょうか。
かく言うぬらくら子もLINEとFacebookを利用しています。

2013年3月11日の東日本大震災の時、仙台に暮らす家族に電話が繋がらなくなったとき、 家族の無事を知ることができたのはFacebookを経由してでした。
このときはSNSやインターネットの想像外の威力に驚かされました。

全く知らない人からmixiにメッセージが入り、すっかり忘れていた学生時代の 知人の名を挙げて、『どうしても連絡を取りたいのだが、連絡先を知らないか?』と 問い合わせてきたのは、彼の知人の、そのまた知人の……と繋がりを辿って ぬらくら子にたどり着いたのだと聞きました。
さいわい、そのときは連絡先を知らせることができましが、受け取ったメッセージが 全く知らない人からのものだったので、事情が分からない始めのうちはそのメールに 薄気味の悪さすら感じたものです。

Facebookやmixiを通じたこの二つの経験は目に見えない先端技術の横顔を垣間見た瞬間でした。

Facebookやmixi、LINEなど、SNSがパソコンだけでなく、スマートフォンでも 利用できるようなってからようやく7、8年経ったというところでしょうか。かつてのアップル・コンピューター(Apple Computer)のCEOジョン・スカリー (John Sculley)が提唱したナレッジ・ナビゲーター(Knowledge Navigator)や、 ゼロックス社のパロアルト研究所の設立メンバーの一人でコンピューター科学者の アラン・ケイ(Alan Kay)が夢見たダイナブック(Dynabook)が現実のものになった と言っても好いのではないでしょうか。

手のひらに収まり何時でも世界に繋がる小道具なしの生活は考えられなくなりました。

ぬらくら子の周囲でもご多分に漏れず、歩行中、自転車走行中、自動車の運転中、 通勤電車の中などなどで片手に持ったスマートフォンに見入っている人をたくさん見かけます。この人達の全てが緊急の用事があってスマートフォンを利用しているわけでは無い と思うのですが、移動中のスマートフォンを利用する人は一向に減る様子がありません。
こうした人達は、画面に見入っているということからも想像できるように、 スマートフォンに繋がっている向こう側の人と会話をしているのではなく、 SNSやゲーム、情報検索を利用しているのでしょう。

家庭の玄関先や、食堂、居間などに鎮座していた黒い固定電話機から、短期間でしたが ショルダーホンを経て携帯電話へと発展・普及してきた電話機ですが、この7、8年の間に、 携帯電話の一亜種としてのスマートフォンが、電話機の使い方を大きく変容させてきました。

選んだ相手と限った時間に会話をするという従来の固定電話と、複数の相手と 何時も何となく繋がっているという現在のスマートフォンは、人と人との繋がり方の 変わりようを現しているように見えます。 人と人との繋がりのありようが時代と共に変わり、それに電話機が応えてきたのか、 あるいは電話機の発達・普及が人と人との繋がりのありようを変えてきたのか、 何時でも何処でも誰とでも繋がる小道具を、未だ私たちは使いこなせていないのかもしれません。

タイトルの「ぬらくら」ですが、「ぬらりくらり」続けていこうと思いつけました。
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  著者 Information

著者
ダイナコムウェア コンサルタント
mk88氏

PROFILE●1942年東京都生まれ。
1966年桑沢デザイン研究所ビジュアルデザイン科卒。
設備機器メーカー、新聞社、広告会社を経て、
総合印刷会社にてDTP黎明期の多言語処理・印刷ワークフローの構築に参加。
1998年よりダイナコムウェア株式会社に勤務。
Web印刷サービス・デジタルドキュメント管理ツール・電子書籍用フォント開発・
フォントライセンスの営業・中国文字コード規格GB18030の国内普及窓口等を歴任。
現在はコンサルタントとして辣腕を振るう。
Blog:mk88の独り言

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