連載コラム
2016年10月12日

ぬらくら 第65回 点字

墨字。
読み方によって意味が変わります。

「ぼくじ」と読むと書道の墨で描いた文字のことになります。
「すみじ」と読むと点字に対する普通に書かれた文字や印刷された文字のことになります。

「すみじ」の話ではなく点字の話をします。

公共施設や公共交通機関のエレベーター、階段の手すり、案内板などに点字による表示がふえてきました。洗濯機や電気ポットなどの家電製品の中にも、そのボタンの機能や注意書きを点字で併記した製品があります。 未だ数は少ないようですがスーパーマーケットなどでも調味料や缶入りアルコール飲料、お菓子のパッケージなどに点字で商品の説明を併記したものが見受けられます。

点字は縦に三点、横に二列の六つの凸点の組み合わせで構成される文字で、この単位を「マス」といいます。

一マスの六つの点にはそれぞれ名前がつていいます。
左の三点を上から順に①の点、②の点、③の点、右の三点を上から順に④の点、⑤の点、⑥の点と呼びます。
 点字 図1
点字は横書きで左から右に読んでゆきます。

この六点で構成される点字は、パリの訓盲院の生徒で後に同院の教員になったルイ・ブライユ(Louis Braille, 1809 - 1852)によって1825年に考案されたもので、「ブライユ点字」とも呼ばれるようです。

日本に紹介されたブライユ点字を実際に利用したのは、東京盲唖学校の教官・小西信八が1887(明治20)年にローマ字として生徒に教えたのが最初といわれています。
その後、東京盲唖学校の教員・石川倉次(1859 - 1944)がブライユ点字に工夫を加えて日本語で使えるようにしました。
1890(明治23)年に東京盲唖学校で開かれた点字選定会で、それまでに発表されていた三つの点字案から石川倉次の案が採用され、ここに日本の点字の基礎が確立します。

日本の点字は子音と母音で構成される表音文字です。

母音の「あ」行は①②④の三つの点で構成されています。 点字 図2
図-2は点のあるところを●で、点のないところを―(虚点と言います)で示しています。
実際の点字は●部分が無色の凸点、―(虚点)部分は空白のままです。 分かりやすくするために墨字ではこのように表記します。墨字の点字を「墨点字」とも言います。
「か」行は「あ」行に⑥の点を加えて表します。
 点字 図3
以降、「あ」行に……

⑤⑥の点を加えると「さ」行に、
③⑤の点を加えると「た」行に、
③の点を加えると「な」行に、
③⑥の点を加えると「は」行に、
③⑤⑥の点を加えると「ま」行に、
⑤の点を加えると「ら」行になります。

「や」行は例外で「あ」行の各点を一番下まで下げて④の点を加えます。
点字 図4
「わ」行も例外で「あ」行の各点を一番下まで下げて表します。 点字 図5
撥音の「ん」は③⑤⑥の点で表します。

上手く考えられています。
皆さんも図-1と図-2を参考にして点字の五十音表を作ってみてはいかがでしょう。

この他、日本語表記に必要な濁音、半濁音、促音、長音、拗音、拗濁音、半拗濁音、句点、読点など、括弧類や矢印などの記号類にも対応しています。
また、「数符」を付けて数字を、外字符を付けてアルファベットを表記することもできます。

点字は選挙の際の投票、請願署名、各種試験の受験、日本国内郵便の住所・氏名、内容証明郵便などに認められています。

特殊な点字記号として点字数字記号、点字理科記号(化学・生物・地学・物理学など)、情報処理用点字記号(コンピュータ・プログラムを書くための点字記号)、楽譜用点字(洋楽用・邦楽用)などがあります。

一般的に使われている点字はご紹介してきたように墨字の「かな」に相当する表音文字ですが、漢字を表す漢点字も工夫され一部の人たちに利用されています。

【参考資料】
『新装版 点字・点訳 基本入門』  
当山 啓:著、産学社 2008年刊

タイトルの「ぬらくら」ですが、「ぬらりくらり」続けていこうと思いつけました。
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  著者 Information

ダイナコムウェア コンサルタント
ダイナコムウェア コンサルタント
mk88氏

PROFILE●1942年東京都生まれ。
1966年桑沢デザイン研究所ビジュアルデザイン科卒。
設備機器メーカー、新聞社、広告会社を経て、
総合印刷会社にてDTP黎明期の多言語処理・印刷ワークフローの構築に参加。
1998年よりダイナコムウェア株式会社に勤務。
Web印刷サービス・デジタルドキュメント管理ツール・電子書籍用フォント開発・
フォントライセンスの営業・中国文字コード規格GB18030の国内普及窓口等を歴任。
現在はコンサルタントとして辣腕を振るう。
Blog:mk88の独り言

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